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助けた女の子がメイドになった

「うわぁ……」


 屋敷に入ると、ホコリだらけで絶句する他なかった。

 それもそうだ。ずっとルーシャが占拠していたため、誰も整理することができなかったのだろう。


「まずは掃除だな」

「掃除は知ってる! とりあえず焼き払えばいいんでしょ!」


「ちなみに誰から教わったんだ」

「ママから!」


 ママァ……。


 さすがに俺の家を焼き払われるのは困るので、ルーシャは待機してもらおう。


「ルーシャはじっとしていてくれ。俺が掃除を済ませるから」

「一人でできるの?」


「一応な。これくらいならスキルでどうにかなる」

「そう言えば人間ってスキルは一つしか持てないんでしょ? どうしてアルンはいくつもスキルを使えるの?」


「あー……それはだな」


 実のところ、スキルはいくつも所持することができる。

 しかし、そのような能力はとっくの昔に失われた。


 理由は知らないが、少なくともこの時代の人間は一つしかスキルが持てない。

 俺が転生して生まれるまでの間になにかがあった……のだろうが詳しくは知らない。


「どうしてだろうな」

「分かった! アルンが単純にすごいからだね!」


 このドラゴン娘、多分社会では生きていけないタイプだな。

 簡単に騙されて有り金全部むしり取られていそうだ。


「《全域清掃》」


 まずは一気にホコリやゴミを処理していく。

 俺がスキルを発動すると、屋敷全体に魔法陣が浮かびあがりゴミを吸い込んでいった。


「おおおおお!! すごい!!」

「あんま実用性はないんだがな」


 戦闘面では一切使えないし、こんな限られた場面でしか使わないスキルなのですごいかどうかは知らん。

 しかし、我ながら綺麗になったと思う。


 屋敷の床や壁は、多分建設当時のような美しさを取り戻しただろう。


「《全域修復》」


 次は壊れた家具や道具を直して行く。

 ボロボロだった家具が修復されていき、使えるものになっていった。


 ま、こんなところか。


「こんなにもすごい人間初めてみた! アルンって何者なの?」

「ただの一般人だ」


「本当に?」

「あ、ああ」


 さて、ひとまず部屋を見ていきたいのだが。


「す、スキルを二つも!? それにさっきのも考えると三つ以上……!?」

「まったく、安静にしておくように言ったはずだけど」


 振り返ると、そこには先程治療した少女、リーンの姿があった。


「あ、あの! わたし、お礼がしたくて……!」

「お礼はいいよ。当然のことをしたまでだから」


「当然じゃないです! わたしなんて領主様にとっては他人ですし、今までの領主様は領民を助けたりはしなかったと聞いております!」


 当然じゃないのか?

 普通領主は領民を助けると思うのだが。


 ともあれ、彼女を立たせたままで放置するわけにはいかない。

 病み上がりなんだ。


 直した椅子を持ってきて、彼女を座らせる。

 どこか緊張した様子でそわそわとしているようだ。


「どうした。別に緊張する必要はない。というか落ち着いたほうが体にいいぞ」


 言いながら、俺は茶葉を錬成する。

 これは無から有を錬成することができるスキルだ。


 特にこれといってすごいものは作れないのだが、茶葉くらいなら簡単にできる。

 後はお湯とカップを用意してっと。


「な、ななななな!? 今なにをしたんですか!?」

「ちょっとしたマジックかな」


「スキルですよね!?」

「マジックだけど」


「スキルですよね!?!?」

「あー……うん。スキル」


「やっぱりー!」


 さすがにマジックは通用しないか。


「今のマジックじゃないの!?」


 一人を除いてだけど。

 テーブルを用意し、俺は彼女の前に座る。


「茶菓子はいるか?」

「いや……そこまでなさらなくても……」


「どうした。遠慮はしなくていいんだぞ」


 俺としても、領民とは仲良くしていきたい。


「今までの領主様は……」

「過去のことばかり話さなくていい」


「え?」

「今は俺が領主なんだ。過去の領主がどんなやつだったかは知らないが、これが俺のやり方。さぁ、領民共は俺のやり方に従うがいい!」


 そう笑ってみせると、


「……ふふふ。分かりました。それじゃあわたしは領主様の策に巻き込まれることにします」

「ガハハ! そうするがいい!」


「でも、そこまで無理にキャラを作る必要はないですよ?」


 それもそうだ。

 ちょっと恥ずかしくなってしまって、視線を落としてしまう。


「あの……お願いがあります」

「んあ? どうした」


 どこか真剣な表情で俺を見てくる。


「わたし、リーンをあなたのメイドにしてください!」

「え? メイド?」


「はい! な、なんでもします! なんでもご奉仕致します! その、その……!」


 顔を真っ赤に染めて、ついには机にうずくまった。

 全く……ただでさえ病み上がりなのに……。


「分かった。俺も困っていたんだ。これからよろしくな、リーン」

「は、はい! お願いします!」

怒涛の連続更新じゃオラァ!!!ここまで読んで下さり、本当にありがとうございます。そして、評価を入れてくださった方へ、最大級の感謝を。お礼を言いたいけど分からんから言えないの辛い。


さて、皆様にお願いです。




少しでも面白い、続きが読みたいと思ってくださった方はぜひ広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に染めていただけると嬉しいです。



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