自己中心的なビビリ(ビビリ視点・ざまあ)
ビビリは国王と会うことはなくなった。
仕方がないことだ。少し判断を間違えてしまった。それだけのことである。
「大丈夫だ……もう一度アルンを連れ戻すだけでいい……!」
それだけのことである、とビビリは思いこんでいた。
連れ返せばいいのだ。それで全てが解決する。
きっと、アルンも宮廷に帰ってきたいはずだ。
なんせ第一王子という役職が復活するのだ。
誰もが憧れる地位。
自分だって憧れていた。
きっと今頃、気に病んでいるはず。
「第一王子に戻りたいなぁって!」
ビビリは一人部屋で叫ぶ。
確信していたのだ。
絶対にアルンは帰ってくると。
そこで、ビビリは手紙を出すことにした。
簡単な手紙だ。
『アルンへ。第一王子であるビビリです。今、宮廷ではあなたが帰ってくるのを待っている者が多数います。今なら僕の役職である第一王子を譲ってあげても構いません。もしよければ帰ってきませんか?』
「よし、これでいいだろ!」
ビビリは手紙を見て乱舞した。
絶対にこれでいい。
しかしビビリは気がついていない。
自身が書いた手紙の文章の酷さに。
彼は『第一王子を譲っても良い』とは思っているが、手紙にはそれを書きたくなかった。
理由は単純。
自分の方が上だと思っているからだ。
なんせ自分が持っているスキルは《剣聖》。
いくらアルンが優秀だって、世の中はスキルがすべて。
自分のスキルのほうが上だと言う事実は揺るがない。
ビビリは嬉々として宮廷を飛び出し、手紙を送る。
そして帰宅し、思い切りベッドに飛び込んだ。
「楽しみだなぁ。きっと、これで帰ってくるはずだ!」
ビビリはすべてにおいて勘違いしている。
しかし、それに気がついていない。
手紙の返事なんて、よく考えれば分かりきっているというのに。
アルンの領地の現状を調べずに出す当たり、彼はそこまで計画性がないのだろう。
それも良い点ではあるが、今に関して言えばデメリットでしかない。
残念だが、思いはきっと届かない。
なんせ、ビビリの思いなんて自己中心的で一方的なのだから。
そしてまた一点。
ビビリはタイミングが悪かった。
ビビリと同時間、隣国――アダッシュ王国の王子であるアルマが手紙を出していた。
『アルンに対して、積極的に支援をする旨の手紙を』
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