吸血鬼の姫を討伐する
何体もの吸血鬼が俺たちの前に立ちはだかる。
だが問題ない。俺たちにとってはただの魔物だ。
吸血鬼はたしかに面倒な相手。
だが、面倒な相手にはさらに面倒になればいいだけだ。
ルーシャが屋敷を崩壊させない程度に炎を吐き出す。
「がおーーーーーーー!!」
何体もの吸血鬼を蹂躙し、俺は残った吸血鬼をやる。
「貴様ごときが姫様にたどりつけるわけが……!」
「あまり人間を舐めるな。そして償え」
遠くに避難しているリーンに手を振ると、リーンが頷いてナイフを投げてくる。
俺はそれを受け取り、魔力を込める。
そして、そのまま相手に向かって突きつけた。
もちろん、ただの魔力付与ではない。
「な、ナイフが光ってます……!」
リーンが驚いたような瞳でこちらを見ている。
そう。日光だ。
擬似的な光ではあるが、含んでいるものは日光のそれ。
そんなものを吸血鬼が受けるとどうなるか。
「なぁ!?」
簡単に腕を切り裂き、次々と殲滅していく。
「ルーシャ! そろそろストップ!」
「ラジャー!」
ルーシャに合図を送り、ドラゴン状態を解除させる。
そして残った残党に声をかける。
「お前たちのボスに用がある。案内してくれ」
「は、はひぃ……」
◆
一人の吸血鬼に案内してもらい、俺たちは姫のいる場所へと向かった。
屋敷の中に一際大きな扉があり、俺はそこを押し開く。
「あら。来客……にしては暴れましたね」
一人の吸血姫が椅子に座っていた。
読書をしていたのか、手には本が握られている。
題名が『人間の美味しい食べ方』だなんて、悪趣味にも程があるが。
ともあれ、吸血鬼らしいと言えばそれでお終い。
「えーと、あなたたちを案内したのはそこの吸血鬼?」
そう言うと、俺たちを案内した吸血鬼がその場で土下座した。
何度も頭を地面につけて、必死に許しを乞うている。
「す、すみません! しかしこれは致し方ないことで――」
「言い訳なんて聞くつもりはないわ。さようなら」
瞬間、土下座していた吸血鬼の首が切り落とされた。
俺はとっさの判断でリーンたちを部屋から出し、扉を閉める。
「賢明な判断ね、人間さん。いや、大賢者アルンと呼べばいいのかしら」
「俺を知っているのか」
聞くと、吸血姫がふふふと笑う。
「もちろん。だって、主様の願いである『魔物の繁栄』。それを邪魔しかねない大賢者が転生したとなれば、主様も焦るわ」
「ほう。つまり俺は敵視されているわけか」
だが、許せない。
だからこそ許せない。
「俺に対してだけなら良かったが、お前らは関係のない人間たちをも殺している。決して許されない」
「当たり前じゃない。魔物の繁栄に人間はいるかしら?」
俺は収納スキルで魔剣を取り出す。
そして、吸血姫に向かって剣を突き立てた。
「無駄よ。無駄。それくらいじゃあ、私は倒せない」
吸血姫は剣を振りのけ、投げナイフを俺の体に打ち込んだ。
俺はもろに喰らう。
全身に突きつけられたナイフ。
この感触からして、魔力が込められている。
人間に対して有毒に働く、厄介のもののようだ。
「痛いわよね。死にそうよね。大丈夫よ、そのまま死ねるから」
ああ。死にそうだ。というか、死んでいるだろう。
普通の人間ならば。
「これで最後か?」
俺は刺さったナイフを引き抜き、地面に落とす。
カランカランと金属音が虚空に響いた。
「な、なんで……? なんで生きているのよ!」
まあ、そりゃ当然。
「主にも嘗められたものだな」
なんたって俺は。
「大賢者だからな」
そう言って、手のひらを相手に向けると魔法陣が展開される。
スキル《魔導砲》。
轟音とともに発せられた魔法弾は吸血姫を貫き、屋敷の壁すらも破壊した。
よし、任務完了だな。
「な、なんですか今の音は!?」
「終わったのー?」
「すまんすまん。ちょっとやりすぎた」
「もう! 心配したんですよー!」
リーンが抱きついてくるもので、困ってしまう。
というか、その……恥ずかしい。
「あ、ずるい! 妾も!」
「ちょ! お前ら抱きついてくるな!」
今日ラストの更新です!疲れたァァァ!頑張った!
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