ゴブリンからのお礼
「みんな-! アルン様にお礼をするゴブー!」
「「「おおーーーーーー!!!!」」」
それから幾日か立ったのだが、突然ナムたちがやってきたかと思うと街の農作業を手伝い始めた。
さらには、自ら狩りをして得た動物の肉を献上までしてくれた。
「な、なにごとだ……?」
「ゴブリンが人間の味方をしているの?」
街の人たちはただ呆然とするばかりである。
俺も俺でまさか、こんなにも早くお礼をされるとは思ってもいなかった。
ナムがこちらに近づいてきて、敬礼をする。
「アルン様! 僕たち、今までしてきた行いを反省するべく街の発展のお手伝いをしに参りましたゴブ!」
「おいおい……そこまで無理はしなくてもいいんだぞ?」
「いえ! 僕たちが進んでしたいと思っていることなので気にしなくてもいいゴブ!」
ナムの姿は泥まみれで、なんなら少しかすり傷も負っている。
他のゴブリンも必死に領民の手伝いをしているようだった。
「そうか。分かった、ありがたくご厚意をいただくことにするよ」
そう言うと、ナムは満足げに笑う。
さて、俺もなにか手伝わないとな。
ゴブリンたちばかりに働かせるわけにもいかない。
見たところ、ゴブリンの過半数は街を囲う塀を建設しているようだった。
この街は小さいわけでもないので、かなりの労力が必要な作業である。
「大丈夫か。その作業、俺も手伝うよ」
「問題ないぜ! 時間はかかるけど……アルン様のためなら!」
「いや、そういうわけにはいかない。俺はこれでも領主なんだ。多少なりとも手伝わないとな」
「そ、それなら……。でも力仕事だぜ?」
確かに力仕事だ。
重い木々をたくさんのゴブリンが汗を流しながら運んでいる。
しかし、俺にはスキルがある。
ないなら仕方がないが、あるものは使わないともったいない。
「《錬成》」
詠唱を唱えると、無から建材が生み出され、自動的に塀を生成していく。
「な、なんだこの速度!?」
それもかなりの速度でだ。
きっと、ゴブリンたちだけでやろうとすれば一月。下手すればもっとかかっていたかもしれない。
その作業を一瞬にして終わらせた。
まあ、これくらいの簡単な作業なら問題ない。
「す、すごいゴブ……! っと思わずゴブが出てしまったぞ……!」
「そこまで驚かれると俺も嬉しいな」
「ねねね! アルン!」
「んあ? ルーシャとリーンか」
振り返ると、子ゴブリンを連れた二人の姿があった。
どうやらかなり懐かれているらしい。
「街の人たち。ゴブリンにすっごく感謝しています! 魔物と人間が手を組んだのは、もしかしたら人類史上初かもしれないと大騒ぎですよ!」
「そうかそうか。領民のみんなも受け入れてくれたか」
ひとまず安心だな。
ゴブリンは知性があって確かに厄介だ。
しかし仲間にすればすごく頼もしい。
ひっそりと狙っていたのが上手くいったようだ。
領民にも受け入れてもらえたし、作戦は大成功といったところか。
「これも想定内だったの?」
「さぁ。どうだろうな」
「いやいや、きっとアルン様のことですから想定内ですよ!」
「そうだね! アルンなら絶対そうだ!」
「想像に任せるさ」
ともあれ、スキルの効果もあって塀も完成した。
これで弱い魔物の襲撃は防ぐことができるだろう。
あとは強力な魔物を防ぐための仕掛けを施さないとな。
そう。結界スキルの時間だ。
俺は手のひらを掲げ、詠唱を唱える。
「《不可視結界》」
すると、閃光のような物が打ち上がり、街を光が覆い尽くす。
「うわっ! なにこれ!」
「綺麗です……!」
ぱっと街が明るくなったと思うと、すぐに光は消えた。
これは単純明快なスキル。
魔物の侵入を防ぐ不可視の結界。
このスキルはだいたい聖女が持っているものだ。
ま、大賢者にもなれば大抵のスキルは使いこなせるのだが。
もちろん地獄のような鍛錬が必要だけども。
「今のなんです!?」
「気になる!」
二人がぐっと近づいてきた。
「なんなの今の!」
「僕も気になるゴブ!」
子ゴブリンも興味津々と言ったところだ。
まあ、解説するのも難しいし。
「おまじないみたいなものだ」
「はえー……でもすごいスキルには違いないですね!」
「うん! 妾、すっごい魔力を感じたよ! さすがアルン!」
やっぱりルーシャにはバレるか。
ま、これでしばらくはこの街も大丈夫だろう。
これにて一章完結です!次章の名称は未定!
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