ゴブリン助け
「お、俺たちを助けてくれるのか?」
一匹のゴブリンが訝しげに聞いてきた。
「ああ。その代わり、もう人間は襲うなよ」
俺はというと、洞窟入り口付近の土の質を確かめていた。
聞いたところ、人間から物資を奪って生活していたらしい。
そのため、戦闘以外の知識がないらしかった。
そこで俺が農作業の知識を与え、彼らの中で完結できるようにしようとしているわけだ。
「土地は問題ないな。自然が豊かなだけある」
森内部はバート領とは思えないほど自然にあふれていた。
ま、これも把握済みだったのだけど。
女性陣はゴブリンの子供たちと遊んでいた。
「がおー!」
「ちょ、ちょっと!? ドラゴンの姿は普通に怖いです!」
「お姉ちゃんおもしろいゴブー!」
「ドラゴンになれるのかっけーゴブ!」
「楽しんでるの!?」
楽しそうでなにより。
というわけで、俺は俺でゴブリンたちに農作業の知識を教えていた。
「誰か戦闘以外のスキルを持っているやつはいるか?」
「あ……はい……」
俺が確認を取ると、奥から武器すら持っていないゴブリンが近づいてきた。
周囲はなんだか、彼を可哀想な目で見ている。
それも仕方がない。
ゴブリンは戦闘に特化した種族。戦闘以外のスキルを持ってしまっては『外れ』になってしまう。
「スキルは?」
「《育成》ゴブ……」
「む。なかなかいいスキルを持っているじゃないか」
農作物だけでなく、子育てなど。様々な育成の場面で役に立つスキルだ。
ゴブリンの生態を詳しく知っているわけではないが、これを外れ認定しているのはもったいない。
「いい才能だ。よし、君に知識を与えるから作物の育成。それから農作業の知識を仲間たちに教えてやってくれ」
俺が全てやってもいいが、せっかくいいスキルを持っているのだ。
自分はやればできるんだと仲間に見せてやる機会も与えないと。
「そうだ。せっかくだから君の名前を教えてくれないか。これからもなにかあるかもしれないからな」
「えっと……ナムだゴブ」
「ナムか。いい名前だ。俺はアルン、よろしくな」
「……ゴブ!」
そうして、俺はナムに知識を与えた。
作物の種を錬成。それからナムに知識を一気に教えるため、一度作物の育成速度を上げる。
これで作物は収穫段階まで持っていけるし、かなりの速度で知識を教えることができるので一石二鳥だ。
もちろん、速度を上げるにしても正確な育成は必要。
そこでナムが持つスキル、そして俺が叩き込んだ知識が役に立った。
「す、すごいゴブ……!」
「自分をあまり卑下するな。これは君が育てたんだ」
「ぼ、僕が……?」
「そうだ。なあ、他のみんなも見ていただろ?」
ナムから視線を他のゴブリンたちに移す。
すると、様々な歓声が上がった。
「ああ! 見ていたぞ!」
「ナム、お前やるじゃねえか!」
「ゴブって語尾つけなくても、お前は一人前だ!」
今更だが、語尾に『ゴブ』とつけるゴブリンは未熟な証だ。
それほど彼には自信がなかったのだろう。
「いや、僕はまだまだ未熟者ゴブ……。でも、みんなの役にこれで立てるゴブ!」
「ああ! オレにも教えてくれよ!」
「教えて教えて!」
「こ、こうするのか?」
「あ、ここはゴブね……!」
その光景を見ていると、どこか心が温まった。
こいつらは確かに領民を脅かした。
しかし、この様子だと彼らに原因があるわけではない。
「そうさせた主とやらが問題だな」
これから探る必要がありそうだ。
ともあれ、今は一匹――いや、一人の成長を見届けることができてよかったとしよう。
「オレたち、これからは変わる!」
「もう悪いことなんてしねえ!」
一人だけじゃない。
この場にいる全員が成長した。
「あ、あの……!」
「どうした、ナム」
「ありがとうゴブ! 僕、戦いたくなかったから……! それでも、みんなの役に立ちたかったから……!」
「君は最高のゴブリンだ。自信を持て」
「……ゴブ! これからは僕たちの力で生きるし、アルン様にも貢献するゴブ!」
「楽しみにしてるぞ」
そう言って、俺はナムの肩を叩いた。
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