攻略
中はじめじめしていて、居心地が悪い。
魔物の住処は人間には到底適していない環境になっているのだが、ここは相当だ。
「早速出たか」
多分、門番的役割のゴブリンだろう。
俺たちを見るなり口笛を吹いて武器を構えた。
口笛は仲間に敵が来たことを知らせる物だろう。
「なにものだ!」
「おお、喋れるのか」
ゴブリンには確かに知性がある。
しかし、喋れるとなるとかなり少数だ。
「そうだ! 我々は下等生物である人間を滅ぼすために生まれた存在。喋れて当然だ!」
ふむ……。ここまで知性があるとなると、領民たちはかなり苦労しただろう。
リーンは黙っているが、ルーシャは不思議そうに首をかしげている。
「どうして人間を虐げようとするの?」
「そりゃ、人間は魔物の繁栄に邪魔だからだ! 我らが主の夢に邪魔なのだ!」
「主……? なんだ、お前たちは誰かに従えているのか?」
試しに聞いてみるが、答えが返ってくることはなかった。
奥の方からぞろぞろとゴブリンの群れがやってきたのだ。
「ふはははは! お前たちは終わりだ!」
弓や槍。それはもう多くの武器を持ったゴブリンが現れた。
鉄剣も持っているな。
明らかに通常のゴブリンでは作れない代物だ。
明らかに裏に誰かがいると考えて間違いないだろう。
主……が誰かは知らないが、今後相対する可能性は否定できない。
「終わりか。いいだろう、俺が直々にお尻ぺんぺんしてやる。安心しろ、殺しはしない」
俺の声と同時に、リーンがスカートの下からナイフを取り出す。
ルーシャは洞窟の大きさ的に不可能と考えたのだろう。
人間の姿でスキルを使う準備をしていた。
「ああそう。二人はとりあえず見ていてくれ。殺さずに反省させるのが一番だ」
「え? なんだか面白そう!」
「少し不満ですが、平和が一番です! アルン様を信じます!」
それじゃ、早速やるとするか。
「《催涙》」
このスキルを簡単に説明すると、目潰しだ。
もちろん一時的なもので、完全に視力を奪うものではない。
「「「あ、あぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」
スキルを発動した瞬間、ゴブリンたちが目を押さえて地面に倒れる。
それもそうだ。
このスキルは――痛い。
俺でも喰らうのは嫌だ。
だが、殺さずに反省させるにはちょうどいいスキルだ。
「動けないだろう。さて、ここのボスに俺は用がある。痛みからいち早く解放されたくて、尚且つボスのいる部屋まで案内してくれる者は手を上げてくれ」
「「「は、はいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」」」
まさか全員が手を挙げるとは思わなかった。
ともあれ、全員を解放してしまっては意味がない。
《催涙》は解くが、代わりに《拘束》しておくか。
一匹のゴブリンを解放し、案内してもらう。
この洞窟はかなり入り組んでいるらしく、右に曲がったり左に曲がったりと帰りが困る構造をしていた。
中に入った者は絶対に生きて返さないという意思を感じる。
それくらいが魔物らしくてちょうどいいが。
「こちらでございます!」
「ありがとう」
そう言ってゴブリンが扉を開ける。
すると、そこには眼帯をしたゴブリンの姿があった。
椅子に座り、こちらをじっと見ている。
「早速で悪いが、交渉の時間だ。俺は別にここを滅ぼすつもりはない。だが、俺の領民に危害を加えるのを禁じること――そして『主』とやらを教えにもらいにきた」
尋ねるが、眼帯ゴブリンは何も言わない。
「おい、聞いているのか――」
近づこうとした瞬間、一瞬にして眼帯ゴブリンの姿が消えた。
いや――刹那で燃え尽き、炭すらも残さず消えた。
「な――」
「な、なんなの!?」
「ひえ!?」
不味いと思い、リーンとルーシャに防御結界を張る。
動かないよう指示をし、俺だけ眼帯ゴブリンがいた場所に近づく。
「これは……」
机の上に紙が置かれていた。
そこには、こう書かれている。
『大賢者――今はアルンか。貴様が転生したのは知っている。これはまだ序章にすぎない』
「ほう。俺の存在を認知している者がいるのか」
これまた面倒な相手だ。
だが、周囲に危険な魔力は感知できない。
ここに危険はないだろう。
「今度は魔物助けの時間だ」
さてと。
これで終わりだと、このゴブリンたちは他を襲うだろう。
主が誰かは知らないが、ボスがいなくなった今はそんなの関係ない。
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