ヤンデレでライバルを殺してしまったけど諸事情で蘇生させないといけなくなってネクロマンサーになりました。
ヤンデレざまあ的な作品です。
闇野ひとみ。高校3年生。
私は今、猛勉強中である。
ネクロマンサーになるための。
私の初恋。
それは4歳の時、保育園で。
同じ『さくらぐみ』の男の子、説輪猛行くんが好きになった。
でも、猛行くんの周りにはいつもたくさんの彼女が居た。
カッコよくて、頭が良くて、運動ができて、家はお金持ち。
そしてすごく優しい猛行くん。
私も彼の周りに居る女性の1人だった。
猛行くんのそばに居られればそれでよかった。
でも…しばらくすると私の『本質』が目を覚ました。
『猛行くんは私のもの。絶対誰にも渡さない』
それから私の『自分磨き』が始まった。
自分を磨き続けた私は高校3年生になっていた。
今の私には猛行くんを独り占めできるだけの資格がある。
成績は学年トップ。
運動面でも、ソフトボール部のエースで4番の主将として全国大会に出て優勝している。
毎日のように告白されるほど器量は良く、体つきだってモデルになってほしいとスカウトされるほど。
夏が終わって部活が終わり、2学期になって席が猛行くんの隣になった時、私は今こそチャンスだと思った。
「猛行くん、好きです。付き合ってください」
私は校舎裏で猛行くんに告白した。
「僕が他の人と付き合ってるのは知ってるよね?」
そう、猛行くんにはすでに恋人がいる。
そんなことは百も承知だ。
私は猛行くんを奪うつもりなのだから。
「知っています」
「恋人が5人居るんだよ」
しかも5人と付き合っている。
それも公然と。
その5人の女の子たちは仲良しで、ケンカすらしないようだ。
「わかっています」
「それでも僕の恋人になりたいの?」
「はい」
「6人目だからって差別するつもりはないけど、本当にそれでいいの?」
「いえ、恋人は私だけです」
「え?」
私は猛行くんに持っていたカバンの中身を見せた。
「これはっ!」
そこには彼女たち5人の『遺品』が入っていた。
正確には『部品』ね。
なにしろ、彼女たちが自慢している部分を持ってきたのだから。
髪とか、眼とか、胸とか…。
「これで私だけを愛してくれますね?」
そう、彼は私のもの。
私だけのもの。
もし、彼が私を恋人にしないなら…
このかばんに彼を入れて帰ろう。
「闇野さんは本当に僕の事が好きなんだね」
「はい」
「その5人よりも愛してくれるの?」
「もちろんです」
「その5人よりも僕の愛に応えられるの?」
「当然です」
「それなら…いいよ」
こうして私の恋は成就した。
そしてその日は『遺品』とかの処分をした。
全てを家に持ち帰り、業務用の冷凍庫へ。
死んだ両親が肉屋であったことに感謝しないと。
切る道具も保管場所も遺していってくれたのだから。
5人の彼女たちが居なくなったことは事件にならなかった。
「彼女たちは僕の実家で花嫁修業をすることになりました」
そんな無茶な話しすら通せてしまうほどの家柄の彼。
私は彼を共犯にしてしまった。
でも、大丈夫。
後悔はさせないから。
5人よりももっと愛してあげるから。
共犯になったことを喜ぶくらい愛してあげるから。
この、私の磨き抜かれた肢体で。
「ああ、ひとみ。本当に君は綺麗だ」
私はついに彼と結ばれた。
さあ、彼を存分に蕩けさせてあげるわ。
あの5人を忘れるほどに。
私だけに夢中にしてあげる。
ふふっ
どう?
まだまだよ。
もっともっとよ!
こういうのはどうかしら?
私、いっぱい勉強したのよ。
あなたを満足させるために。
私だけしか見えないようにするために。
さあ
さあ
もっと
もっと
私を抱いて
私を見て
私だけのものになって。
私を
私を
あ
ああっ
えっ
あうっ
ちょ
ちょっと
ちょっと待って
初体験で、あうっ
もう12時間経つけど
ど、どうして?
終わる気がしないっ!
ああっ
ま、まさか?
5人も恋人がいたのって…
このせいだったの?!
や、やめて
私、私、壊れてしまう!
死んでしまうっ!
「大丈夫だよ。死んでも生き返らせれるから」
「え?」
「うちは代々ネクロマンサーでね。愛しすぎて死なせてしまっても、すぐに生き返らせれるんだ」
「そ、そんな、うそ」
「だから本気で逝っていいんだよ」
「いやああああああっ!!!」
私は死ぬまで愛された。
死んでからも生き返らされて愛された。
何度も何度も。
それが金曜の晩から土曜日曜ずっと続いた。
「ああ、ひとみがあんまりに魅力的だから、こんなに愛してしまったよ」
「あ…あう…」
「これからは毎晩、休みの日は1日中愛し合おうね」
「そ…そんな…」
「僕の愛をこんなに受け止めてくれるのは君だけだったとわかったからね。愛してるよ、ひとみ」
そして1週間経った。
「今日も素敵だったよ、ひとみ」
「…」
動けず、声を上げることもできない私。
そんな私が彼の部屋であるものを見つけた。
『ネクロマンサー秘伝』
それは無造作に彼の机の上に置いてあった。
これなら『彼女たち』を生き返らせれる!
そして、もう一度彼の恋人になってもらおう。
これ以上は、体は生き返っても私の精神が持たないの!
私は彼が寝ている僅かな時間にその本を読んだ。
ひたすら勉強した。
寝不足で授業中に寝てしまうくらいだったけど、そんなことは些細なことだった。
そして…ついに人を生き返らせる『ネクロマンサーの術』が使えるようになった。
私の部屋に魔法陣を描き、肉屋秘伝の技術でドリップ漏れもなく完全に解凍した彼女たちをそこに横たわらせる。
もちろん『遺品』はそれぞれのそばに置く。
そしてネクロマンサーの術を使う!
「我が呼びかけに応じて、その命を取り戻せ!」
小説なんかではネクロマンサーの術は死体を操ったりするのだけど、説輪家のネクロマンサーの術は完全なる蘇生術。
彼女たちの体が完全に癒されて、目を開けていく。
「う…」
「あれ?」
「私…どうして?」
「ここは?」
「う…」
5人が目を覚ました。
「闇野さん?私たち、どうしてここに裸で寝ているの?」
「ごめんなさいっ!」
私は全力で土下座した。
「彼を独占しようとして、あなたたちを…殺してしまったの!」
「そう…まあ、死に慣れているから別になんてことないけど」
「そうよね。彼の『アレ』は包丁より凄いもの」
怒ってくるどころか、やれやれといった表情の彼女たち。
「それで、どうして私たちを生き返らせたの?」
「想像はつくけどね」
「独り占めできないってわかったからでしょ?」
「でも殺されて久しぶりに良く寝れた気がしたわ」
「ほんとね、体が軽いわ」
怒ってないの?
どうして?
私、みんなを殺したんだよ。
どうしてそんなに平気そうなの?
「あ、あの…お願いがあるの。もう一度猛行くんの恋人に」
ピンポーン
え?誰?
インターホンを覗くと猛行くんの姿が。
「どうしたの?」
『居るんだろ?みんな?』
え?どうしてわかるの?
『術が使われたのを感じたから慌てて来たんだ』
それなら丁度いいわ!
猛行くんからもみんなを説得してもらおう。
私は猛行くんを連れて、みんなの居る部屋に戻る。
「やあ、久しぶり」
生き返った彼女たちを見てもその程度の軽い挨拶をするだけの猛行くん。
彼女たちも軽く会釈する程度だ。
どうしてそんなに軽い反応なの?
でもそんなことはどうでもいいわ。
とにかく彼女たちとの関係を元に戻さないと!
「それで、これから6人で猛行くんの恋人になれないかなって」
「私は別に構わないわよ」
「そうね。だって愛しているもの」
「また熱い夜を、朝を、昼を過ごせるのね」
「せっかくだから今からする?」
「そうね、ちょうど裸だもの」
今からするのは遠慮したいけど、彼女たちが先に賛成してくれた。
あとは猛行くんがそれを受け入れてくれるだけ。
もちろん受け入れてくれるよね?
「駄目だよ。だって、僕はもうひとみしか愛せないから」
「え?」
「こんな素敵な女性はいないんだ。だから、僕はもうひとみだけでいい」
「そ、そんなっ!みんな、嫌よね?そんなの?」
私は慌ててみんなのほうを振り返る。
「それなら仕方ないわね」
「愛しているからこそ、引き際が肝心ね」
「闇野さん、猛行を頼んだわよ」
「残念だけど、猛行さん、お幸せに」
「さようなら」
そう言ってどんどんと部屋を出て行く5人。
「お願い!待って!私を助けて!」
「大丈夫。僕は絶対に君を見捨てないから」
「猛行くん、もうやめて…」
「もう僕の事は嫌いになったのかい?」
「ううっ」
死ぬほど愛されるのは辛いけど…ずっと好きだったから!
私の全てを受け入れてくれたのだから、ここで私が逃げるわけにはいかない!
「愛しています。だから…ずっとそばに置いてください」
「わかった」
そして熱い口づけをかわした。
そのまま、その部屋で愛を交わした。
土曜日だったので、それこそ1日中。
「ねえ、猛行くん」
「何だい?」
「私を何度も生き返らせているけど、そのうちどこか壊れたりしないの?」
「大丈夫だよ。生き返るたびに少しだけ若返るから」
「え?」
「やりすぎると『緩く』なってしまうからね。ちょっとずつ若返るから、結果的にまったく年を取らなくなるんだよ」
「え?」
「気づいてなかったの?何度も『破って』いたのに」
それって、彼のが大きすぎるからだと…。
「これから永遠に愛してあげるね。ちなみに僕の両親もそうやって300年愛し合っているんだよ」
「え?」
「うちの家系は子供がすごくできにくくてね。300年間36人の女性を相手にし続けて、やっと僕が生まれたんだ」
「300年?36人?」
「それだけ分の愛情を全部ひとみに注いであげるからね」
「い、いやああっ!ごめんなさい!大好きだけど、無理なの!そんなの無理なの!許してください!お願い!みんな!戻ってきて!」
私は心から懇願した。
「やっとね」
「結構粘ったわね」
「私の時は即落ちだったわ」
「これでやっと6人ね」
「36人まではまだまだ遠いわね」
部屋の戸を開けて戻ってくる5人。
「ど、どうして?」
「最初からこうなると思って待っていたのよ」
どうやら新しい恋人はこうやって『試練』を受けさせられて、それを突破出来て初めて本当の『本当の恋人』として認められるらしい。
「いいの?私、あなたたちを殺したのよ」
「彼と付き合っていたら、死ぬとか生き返るとかは些細な問題なのよね」
「それよりも、猛行をいかに愛するかなのよ」
「さあ、猛行さん。私たちも愛してください」
「ああ、おいで」
そして2人の相手をし始める猛行くん。
「こうやって2人ずつ交代していたのね」
「そうでもないわよ」
「待っているんじゃなくて、その間は私たちだけで楽しむのよ」
「え?」
3人に手足を抑えられる私。
「どんな激しくしても生き返れるから心配いらないわよ」
「いやっ!やめてっ!殺さないでっ!」
「大丈夫。刃物とか道具とかは使わないわ。でもね」
「私たちの『技』だけで何度でも逝けるから」
「死んでも大丈夫。私たちもみんなネクロマンサーだから」
「や、や、やああああああっ!!!」
そして私は高校から姿を消した。
原因は『1日でたくさん死んで生き返ったから』。
1日に10回や20回死ぬくらいなら問題ないらしい。
でも、私は耐えきれずに1日に30回以上も死んでしまった。
そして生き返るたびに少しずつ若返って…。
「猛行さん、ひとみちゃんはもう5回目の蘇生ですよ」
「そうか。残念だな。じゃあ、今日はここまでだね」
「あとは私たちが死なない程度に相手しておくね」
「ふふっ、体つきは幼いけど、年齢的には問題ないっていうのがいいわよね」
私は1日5回の死と蘇生を繰り返すのを限度に、元の体の大きさに成長するまで『優しく抱かれる』ことになった。
ああ、早く7人目を見つけないと…。
でも、もう高校には通えないのよね。
誰か、誰か猛行くんを愛しませんか?
7人目の恋人募集中です。
死ぬほど愛してもらえます。
私と一緒に、永遠に猛行くんを愛しましょう。
お読みいただきありがとうございました。
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