表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

4

遂に在日米軍撤退期限になった。

米軍は段階的に撤退するものの、防衛力という目に見えないものが徐々に手薄になってゆくのが実感として現れてきた。


まず北朝鮮。

米国との対話で、一端は停止させたミサイルを再起動させているのが、米国の軍事衛星の情報で明らかになった。

経済制裁が未だ続行されており、疲弊してるはずのかの国のどこにそんな金が…? と疑問に思われたが、誰が得するか、と考えれば援助を行った国は特定されてくる。

中国である。

中国は米軍の影響力の減退に伴い、沖縄はムリにしてもどこかを掠めとりたいと思っている。

となると台湾一択になる。


沖縄や東南アジア諸国は昔の冊封体制としての主張はできなくはない。

が、これはその土地が再び中華に属したいと願わなければ叶わない。


台湾であれば一つの中国で済む。

歴史上の不幸から分断された我が国の領土であると主張しているので、台湾の同意は不要といえる。


中国という国は古来より策を捏ね回す癖がある。

北朝鮮に金銭や物質を秘密裏に送り、ミサイル外交を促しつつ、沖縄への中国人来訪者をさらに増員させるという七面倒臭いことをして、日米の目を台湾からそらした。


台湾人は、これに気づいた。

やはり同じ民族である。

即座に日米に救援要請をし、自らは台湾軍を総動員して迎え撃つ体制を整えた。

そして中国人民解放軍の精鋭が台湾を強襲した。

中国VS台湾。

このバトルを後押しするのは、中国側はロシア、北朝鮮、台湾側は日米韓である。

或いは中国が策を弄せず直で攻撃していたら台湾に防御の暇がなかったかもしれない。

中国は時間をかけすぎた。

戦いは一進一退。

膠着である。


これに焦ったのは沖縄である。

徐々に撤退しつつある米軍の姿をダイレクトに見ており、また起きるとは思っていなかった交戦が起きた。

沖縄県の要職者は全員、こぞって政府に早く自衛隊と防衛設備を入れるように要請した。


「なあ、自衛隊を入れずに焦らそうぜ」

日暮がニヤニヤしつつ言う。

「バカを言え」

朝比奈がたしなめた。

「万が一、中国が沖縄に矛先を向けたら国民に被害が出る」

「ないない、中国は台湾で手一杯だろ」

日暮は手のひらを振って、

「ここで沖縄に思い知らせておかないと後で困るからな、遅延作戦だよ」

「ううむ」

唸ったのは阿賀だ。

日暮と朝比奈の言い分は分かる。

物事というのは悪い方向に転んだ時の事を考えて決めなければならない。

とはいえ、心情的には阿賀も沖縄に少しお灸を据えたくもある。

「まずは自衛隊の沖縄配属予定部隊の半数を入れよう。予定より早いし、人員不足でこれが精一杯と言ってな」

阿賀は提案。

「実際、半数が関の山だ」

朝比奈がかぶりを振った。

資料の束に目を通している。

「沖縄以外にも北朝鮮とロシアの動向が気になる。北海道、東北にも人員を回さないとな」

「それも理由の一つにするってのは?」

「いいだろう、わざとやっているのではないし、沖縄が攻撃を受けるなどという情報はないしな」


ところが、沖縄は攻撃を受けたのだ。

それも思わぬ所から。


「はあ?!」

阿賀は報告を聞いて混乱した。

「え、これマジ?」

「……」

日暮と朝比奈も青ざめてる。

「どうやら本当らしい」

阿賀の額からダラダラと汗が滴り落ちる。

「韓国軍が沖縄へ侵攻したようだ」


韓国は手薄になった沖縄を見て、発作的に侵攻を決めた。

これまでの関係ややり取りなど一切お構い無しであった。

ついこの間まで日米韓で台湾支援をしていたのに、である。

ちなみに中台はこの情報を入手後すぐ休戦協定。


米軍は撤退して少数。

自衛隊は半数も入ってない。

ここで攻撃すれば確かに沖縄制圧は可能かもしれない。

その後の日米の反撃を考えなければ、だ。


「クソッ、なんて奴らだ!」

阿賀は即座に自衛隊へ連絡を取る。

増援である。

そして米国へ連絡。

グアムから応援を要請。


韓国軍はすぐに米軍・自衛隊の混成部隊と交戦状態に入った。

米国の情報では、後方より続々と韓国軍の部隊が押し寄せているという。


「クソッタレ !」

阿賀は思わず叫んだ。

韓国が侵攻してくるなど誰が予測できるだろうか。

通常の感覚では理解しかねる事態だ。


交戦からわずか12時間。


「北朝鮮軍が38度線を越えて韓国へ侵入したそうです」


「……」

「……」

「……」

報告を受けて、三人は目が点になった。


「な、なんだこれは?!」

「意味が分からん」

「もう、なるようになれだ!オレは知らん!」



北朝鮮軍と韓国軍はソウル市内で激突。

沖縄侵攻した韓国軍の部隊は慌てて取って返した。

増員がきた日米混成部隊がそれを追いたてる。

沖縄へ侵入した韓国軍は総崩れとなって韓国へ逃げ帰った。


奇襲を受けて浮き足だった韓国軍は徐々に北朝鮮軍に押され始めた。

北朝鮮は露中の後押しを受けているのは明白で、装備を見れば一目瞭然だった。

韓国軍は自らの愚行のお陰で日米の援助は一切受けれなかった。

自業自得である。

それでも、日米に助けを乞うてくるあたり、面の皮が厚いどころではない。

完全に異常さを露呈した結果、韓国は押されに押されまくって北朝鮮に降伏した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ