表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

2

在日米軍の撤退に特に注目したのはロシア、中国、北朝鮮、韓国である。


余談になるが、米軍は日本から撤退する以前に韓国から撤退しており、これを好機と見た北朝鮮、韓国は南北統一に向けての話し合いを行った。

だが、統一後の国名に話が及んだ途端、北朝鮮側は朝鮮国、韓国側は大韓民国を主張。

どちらも一歩も名称を譲らず、それが発端になり再び交戦状態に陥った。

戦いは一進一退、北朝鮮にはロシアと中国の後押しがあり、韓国にはアメリカと日本の後押しがあったが、かつての朝鮮戦争のような表立った協力はできなかった。

マスメディアの存在が大きいからであった。

交戦開始から半年、休戦協定が結ばれた。

皮肉にも自らの手で再び分裂した結果になった。


中国の動向は意外なほど冷静で、安易に手出ししてこなかった。

これは中国の内部事情による。

度重なる米中貿易摩擦のせいで、中国国内の市場経済が疲弊してきていた。

対米輸出が困難になった分を日本が代わりの輸出先となる事で経済がもってる所がある。

そんな折りに日本へ攻撃を仕掛けたら、中国の国内経済にどれだけの損失が出るか分からない。


軍事面だけを見ても、ちょっとした小競り合いならいいが、交戦となると自衛隊の反撃を防ぎ更にグアムより駆け付ける米軍とやりあわねばならない。


只でさえ弱った経済に戦闘による影響が押し寄せてくる。

中国は随分前から食糧輸入国になっていて、かつては米国産が大きくその割合を占めていた。

近年、中国政府はできるだけ米国以外の産地国より食糧を輸入する事に専念していたが、それでも全体の半分近くは未だ米国産である。

日米と戦闘をするということは即ち食糧輸入が停まるという事だ。

つまり戦争継続能力に不安があるのだった。

もっと簡単に言うと正面から戦う体力が中国にはない。


ロシアは頻繁に領空ギリギリのところへ戦闘機を飛ばしてきたが、それ以上の行動には踏み切らなかった。

ロシアが欲しいのは日本の技術力と経済援助である。

それを支えるのは日本式の環境である。

他国から見たらまるで奴隷のような働き振りで労働者達はさしたる文句も言わずに働き続け、金を生むのである。

しかしそれは日本の文化という環境下でしか機能しないことは、ロシア国内の様々な企業より聴取して分かっていた。

日本を侵せばこの環境が維持できず、金の卵を生む鶏を殺してしまう。

ロシアが日本の金を啜るには、日本を自国領へ入れてはならないのだった。


これらの要因があって、極東アジアの勢力は大きく変わることがなく維持され、日本は通達から一年という期間を使って自衛の準備を行える事ができた。


しかし、米軍が日本から撤退を始める今こそが節目となるという事でもある。

中韓がこれまで喧伝してきたように、日本が軍事化を強め外へ向かって侵攻するようになれば、それは周辺国にとっては脅威になる。

またそれにより経済力が低下するような事があれば、日本の利用価値は極端に下がる。


金を生む鶏が家畜ではなく凶暴な獣へと変化するとでもいうべきか。

利益を享受できている内は生かしておいた方がいいが、利益がなくなり被害を受けるようになれば防御しなければならなくなる。

卵を産まなくなったら殺して肉を食った方がいい、という事だ。


それゆえ周辺の4国は日本の動向に注目せざるを得ないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ