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日本の失策は二つある。

いわゆる在日朝鮮人、在日韓国人の居留を認めてしまったこと。

外国人の帰化についての審査が緩いこと。

である。


いかに当時は併合され、日本人だったからと言っても、厳格に対処できないのは不味かった。

緩さはグレーゾーンが大きいということだ。

必ず利益追求のため、ごり押しが行われる。


山田は強硬にこの二つの改革を行った。

山田内閣は、これが原因で、後世に「強硬採決ばかりのごり押し内閣」、「非人道的内閣」と呼ばれる事となる。


帰化については、新たな帰化申請に際する審査を厳しく行い、国の利益に合致しない限り認めないという、大きな方針転換を図った。


在日韓国人・朝鮮人については、朝鮮半島に帰国することを推奨し、居残る者には帰化を強制した。

外国籍で日本暮らしという宙ぶらりんを認めないという事だ。

在日の帰化については、無審査ではあったが、日本の法律に関する宣誓書を書かせ、これを破れば罰則を課すという縛りをもうけた。

政治活動はできない、政治的な応援もできない、要職の公務員には就けない、弁護士にもなれない、自衛隊にも入れない…等々。

沢山の制約を課した。

更に、行動は逐一監視される。


野党、リベラルなどサヨク勢力が一斉に批判し、騒ぎ立てたが、在日韓国人によるテロが続く状況では支持者は少なかった。


この在日帰化の制約は、その他の国から帰化する場合でも課せられるようになる。



簡単に言えば強制同化政策である。

それに同意できない者は国へ帰れ、日本に帰化するな、ということだ。


ここまで漕ぎ着けた。

しかし、山田内閣はやり過ぎた。


「内閣府は直属に秘匿部隊というものがあるそうですね?」

国会で野党議員が質問した。

「機密なのでお答えできません」

「機密という事で何でもやっていいと思ってませんか?」

「そのような事はありません」

「外国人に対する締め付けが目立ちますが?」

「これまでの乱雑な体制を整理したという事です」

「海外からの反発が強まってることについてはどうお考えなんですか?」

「国内の整備、これが先決と考えます」

山田は答えるが、中朝以外の諸外国からも不満が聞こえてきているのは知っていた。

「外国人によるテロ行為が目立つ中で、規律を厳重にせざるをえない状況であることはご理解いただけると思います」

「しかし、締め付ければテロ行為が激化する恐れがあるでしょう?」

「野放しにはできません」

「そこは上手くバランスを取ってやるべきでは?」

「テロ行為がいつ発生するかを突き止めるのは極めて困難です。ですのでリスクを狭めてゆく作業が欠かせません」

「それは人権侵害に当たる可能性があるのでは?」

「国民が第一です。国民の生命を守るためには若干の不都合は致し方ありませんね」

山田は応戦したが、徐々に印象批判の効果が出てきた。


非人道的。

極右。


いつものレッテル貼りがなされ、世論の山田に対するイメージが悪くなってきていた。


興味のない一般人など、見出しで受ける印象をもってしか判断しない。


不正→やっぱりね、やってると思った。

汚職→どうせ裏では横行してんだろ


こんな連想しかしない。


一般人が物事を調べて客観的に思考するなんてことはしない。

余程のもの好きだけだ。

そして、もの好きなんてのは人口に占める割合は少ない。


擁護の声はいつしか掻き消され、批判一色に変わっていった。


山田はすぐに辞任に追い込まれた。



次に総理になったのは、立憲民政党の幹本だった。

自営党が逆風を受け、選挙で敗北が相継いだせいである。

幹本は前政権から引き継いだものは維持する方針を出した。

民主党時代の失敗は繰り返さないという事だったが、しかし、それにより支持者のヘイトが集まってしまった。


「なぜ前政権の悪い所を踏襲する!」


という合唱。


「前政権の行いがすべて悪いという訳ではなく、またアメリカとの取り決めが政権交代でコロコロ変わるというのはリスクが大きい」


幹本は説明を繰り返したが、支持者は聞き入れなかった。

だが、数日で飽きがきて忘れ去られた。


秘匿部隊は解散。

軍事アドバイザーのムティスは交渉の末、存続となった。

しかし、山田内閣ほど活用されないだろうというのが世の見方である。


これが中国包囲網に影響を与えないはずがない。

中国はイギリスチームに頻繁に接触を試みるようになった。

イギリスは自分の利益になれば形はなんでもいいのだ。

アメリカに協力すれば利益ありと見たから動いただけだった。


次第にイギリスチームの動きが悪くなってきた。

アメリカから要人が頻繁に来て幹本内閣と折衝を行った。


折角の日米英フォーメーションが台無しである!

実際にはそんな苦情が相継いだのだが、幹本内閣はのらりくらりとはぐらかしたので、事態は更に悪くなってゆく。


旧領に駐留していたイギリス軍が一部撤退しだした。

コストかかりすぎる上に、効果が薄いというのがイギリスの言い分だ。


そして、すぐに「中国との対話を!」という意見が日本国内で噴出した。

誰の差し金かは言うまでもない。


しかし、ここで幹本内閣はうんと言わなかった。


「今、中国に対する包囲を解くのは国益を損なう行為。日本は国益を重視」

という主旨の談話を流した。

もちろん幹本内閣は極右、ネトウヨ認定受けた。

それでも幹本内閣は撤回しなかった。


イギリス軍は数こそ減ったが、駐留は続けた。

中国の思惑は外れた。


幹本内閣は次にロシアとの交渉に当たった。

ロシアとは北方領土問題が未だ解消せずに残っているが、最近は混乱の中でうまく儲けているのでそれほど関係は悪くない。

幹本内閣がリベラル派だというのもあってか、ロシア大統領はそれなりに交渉を受けた。


一つは日本の技術で資源採掘を行う。

中国の資源に対抗する目的である。

もう一つはロシアとの交易を振興すること。


ロシアを包囲網に入れたい。これが目的である。

中国に敵対する必要はない。

何もしない、手助けをしない、それだけで中国には不利益なのだ。


その代わりアメリカとは以前ほど密にはなってない。

アメリカサイドは度々愚痴を言ってくるが、アメリカとロシアの調整役というポジションに立つのはある種、日本の理想的な立ち位置と言える。


アメリカは対中国政策を維持していて、市場の解放、民主化までを唱え出しているが、中国が圧力に屈するのは時間の問題と言える。


朝鮮半島はやっと休戦。

疲弊しているため、周辺国の圧力に屈するしかない。


東アジア情勢はまだ混沌としている。

しかし、一応の決着は着きそうであった。

中国民主化。

この節目がどうでるか。

誰も分からないが、日本の未来を暗くする類いの事ではないだろう。


日本は地理情勢的に戦略が固定されており、様々な選択肢などいったものはない。

決まりきった事をどれだけ行えるか。

ただそれだけである。


将来、日本が存続できるか否か、それは今この瞬間の選択にかかっている。


願わくば子孫に健全な環境を残してやらんことを。


在日米軍ですが、本日をもって日本から撤退します。完

最後はいわゆるバッドエンドとなります。

とはいえ、そう悪い形ではないのですが、日本はいつまでも欧米の思惑と東アジア諸国に振り回され、改善することができないまま続いてゆくというストーリーです。

現実でもこうならないよう祈っています。

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