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経験がモノを言う!  作者: 安東 更
4/5

あちらとこちらの違い

本当に違う所にきちゃいました。


「表面を整えるだけならこんなもんだろう。」

真っ黒青年は事も無げに答える。

あんぐりと開いた口のままカルロスさんを見ると

「地球には魔法は無いのですか?」

と不思議そうに聞いてくる。


異世界転生小説とかだと、地球のことはよくご存知だったりするけど、やっぱり実際は違ったか。


「地球には魔法はありませんし、そんなにぱぱっと何でも直せません。」

「なに?魔法がなければ人々はどの様に生活しているのだ?調理せぬものを食べ、洞穴に住んでおるのか?」

失敬な!

「普通に家を建て住み、調理をして食べていますが?」

ちょっとトゲトゲした言い方になってしまった。

だって、なんだか文化的ではないと言われた感じがしたから。

それに、日本人は美味しいものが好きだと思うし、高い建物も昔ながらの家も気候風土に合わせて建ている。しかも美しい!

魔法がなくても電気や化石燃料、太陽まで使う。まぁ、自分達で制御できない原子力まで使うけどね…


「ふふん。なんとでも言えるさ。」

ちょっと小馬鹿にしたように真っ黒青年が鼻で笑う。

悔しい。現場写真やらいきたいレストランのリストがあれば!…

…あれば?あれ、落ちてきた時の持ち物に、スマホとか手帳とかあるんじゃない?

「あの、カルロスさん。部屋に行って私の持ち物見てきていいですか?」

「何かございましたか?」

「もしかしたら私が住んでいた所の説明ができるかもしれません。」

バカにされたままでは引き下がれない!魔法がどれほどすごいかしらないけど、負けないんだから!そして、充電があるうちに色々見ておきたい…


カルロスさんに許可を得て、ローエさんと部屋へ戻る。

ベッド横の椅子に昨日の服一式が。いつもの作業着(現場に行くときはこれに限る!)とヘルメット。カーゴパンツのポケットをガサゴソ漁るとスマホと手帳・メジャー・三角スケール、4色ボールペンが出てきた。お、ラッキー!予備の充電器も発見。

鞄があればもっと色々あったのになぁ。チョコとか。

あ、胸のポケットにタブレットが!息と眠気覚ましを兼ねたブラックタイプ。ふふふ、後で何かの時にいやがらせとして使おう。


「うわあ、色々出てきますね!」

ローエさんがレモンの瞳を輝かせ覗き込んでくる。

訳のわからないものが出てきたことについてかと思ったら、服のあちらこちらにあるポケットに驚いたらしい。

聞けばここの世界ではちょっとした容量の収納魔法みたいなものがあるので、服にポケットは無いのが基本。

魔力の器用さとによって収納内部の整理整頓能力が異なるそうで、不器用だと何がどこにあるかわからなくなるそうだ。

まぁ、乱雑な鞄の中って事ですよね。

ポケットをオデコの黒い瞳がガン見している。

「良かったらご覧になりますか?」

首が取れるんじゃない?という勢いで無言で頷くローエさん…さては不器用…


宝物の様に作業着を抱きしめたローエさんとさっきの部屋へ向かう。充電器があった事で少し気持ちに余裕が出てきた自分の単純さに苦笑い。この世界が今までの世界と違うと理解するにしたがい押し寄せていた恐怖心が充電器や愛用のヘルメットで少し落ち着くなんて。我ながら単純。


「お連れ頂きました」

恭しくローエさんがお辞儀。

「失礼します。私の住んでいた所の記録がここにあります。ご覧になりますか?」

飛び付きそうな勢いで見たそうに身体中ウズウズさせるカルロスさんと、あきらかに胡散臭げな表情の真っ黒青年。


「カルロス、見るか?」

「是非に。」

穏やかに言っている風だけど、一人はトゲトゲ、一人はワクワク。こうも対照的だと笑える。

「では、まずは住宅から。」

キッチン、トイレ、お風呂、洗面所、現場の写真を見せていく。本当は個人情報とかあるけど、ごめんなさい!

屋根の工事のもあるか。一つ一つ丁寧に説明していく。

「家は木なのですか?いや?草?」

畳からフローリングへのリフォーム現場の写真をみて、驚いたように声をあげる。


「ふふっ木上に住んでいるのか。それとも野原か?」

ちっ。真っ黒青年はあくまでも野山に住んでいるとおもっているな!腹立つ。写真観ればいいじゃない!

「主様、違います!こちらのものとは異なりますが清潔な住居です!」

ふふふ、じつは、こちらのトイレは地面に穴が開いている石製の土管が刺してある感じ。ぼっとん便所型なわけ。中は怖くて覗きませんでした。きっと色々な人がいるから使い勝手も色々でしょうが。使うまでにしばらく固まったわよ。

お風呂は昨日たらいでお水をもらったからどうかはわからないけど日本人はお風呂好き。なかなか高性能よね。

しかも、私の写真はリフォーム現場の物だから最新式。そりゃキレイ!


「そのちっさな板っ切れで何がわかるというのか。」

「よろしかったらご覧になってください。」

ザ・営業スマイルで真っ黒青年にスマホをすすめる。


驚くがよい!







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