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僕は転生に憧れを抱いた②

 目の前で転生が起こる光景を見た者は早かれ遅かれ自分にもやってくる。




 こういう迷信が巷では流行っていた。

 流行っていたといっても一種の都市伝説のようなものである。

 言ってしまえば海斗の学校だけである。

 学校によって様々な噂があるように、海斗の学校ではこのような事が信じられていた。

 むろん海斗自信は半信半疑ではあるものの、昨日見た光景を思い返すと少し胸が高まっていた。




 _______________________________________________




 リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!!!!!!!!





 けたたましい鳴るだけの物が今日も鳴っている。



 冬の朝は寒すぎる、起きるのでさえ精一杯だ。

 どうしてこうも目が覚めた後の布団の心地は気持ちいのであろう。

 かじかんで足を擦る感じ、少し身を丸めるような仕草、それが暖となって一層眠気を誘ってくる。

 頭の中では目覚ましを止めて早く着替えて朝食を食べないとという思考になっているのだが、思考だけが浮遊していて体はついていかない。

 部屋ではけたたましい物体が鳴り響いているが、眠気の方が勝ちそうだ。





 よし、寝よう。

 起きたら転生してるかもしれない。




 小さい村に飛ばされて、そこで出会う一人の女性。

 その世界は一人の支配下によって統治されている。

 女性は俺の事をメシアと呼び世界を救って欲しいと頼んでいる。

 段々と冒険していくにつれて増えていく仲間。

 そこで剣や魔法をふるいつつ、モテる俺。

 いいじゃん、この設定。

 よし寝るか。




 海斗の部屋には小説や漫画が多い。

 小さい頃から親の影響で本や漫画を読むようになっては夜な夜な妄想に浸りつつ寝ている。

 そしてその転生が現実となった今では海斗の気持ちは更に高ぶってはいる。



リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!!!!!!!!




 「う・る・さーい!!!!!」

 まだツインテールが似合いそうな妹が突撃してきた。

 「おきろー!!!海斗ー!!!!!!!!!」

 ポニーテールがいつも似合っている葉月までも……!? 


 ドアを開ける音より先に二入ってきた、葉月までも……だと。

 二人ともしっかりと制服に着替えていて身支度を整えている。




 状況が状況ならうらやましいのだが、生憎2人とも今の俺の妄想には勝てない。



 「起きろー!!!!!!!!」

 布団を無理やりはがされた、逃げ場がなくなった。

 急に現実に戻された。



 「ほらー!せっかく美女2人が起こしてるんだから起きなさい!!本当はお金もらうんだから、こういうの!」

 中学生の妹はどこで知ったのか分からない知識を披露している。



 葉月は帰宅も同じなので当然朝もいつも起こしてくるようになった。

 頼んではいないのだが、運の悪いことに妹とも意気投合してしまい今ではすっかり仲のいい姉妹のようだ。




 朝の優雅な時間を邪魔されてしまったが仕方ない。

 一度こういう状態になったらもう目覚める以外方法は無い。

 

 わかった、わかった!!そして妹よ、その誤った知識は直した方がいいぜ


 妹はぽかーんと首を傾げながら、まるで何のこと?というよな感じで俺を見ている。



 俺は半ば開いていない目を擦り頭を掻き毟りながら海斗は身支度を整えにいく。



__________________________________




 海斗の高校は家から数十分程度の場所にある総合高校だ。

 ここでは普通科以外にも美術科、情報科、福祉科等など分かれている。

 なので必然的に生徒数が多いマンモス高校だ。特に部活に対してはテニス部、美術部が有名である。全国に出場しているほどだ。

 海斗は普通科に、葉月は美術科にいる。

 普段俺らは学校では会うことはないのだが、登校と下校は一緒だ。



 周りでは既に付き合ってるんだろうとちゃかしてくる奴も多い。

 ただ、海斗自身は葉月にそういう恋愛的な面を持ってはいない。

 むしろ美人すぎるので海斗には釣り合っていないと思っている、また、海斗自身の好みは可愛い系である。

 だから付き合うという考えにすら至っていない。

 居なくなったらそれは悲しいだろうなと感じている。



 葉月は茶色のようなぱっちりとした目をしていて、黒いショートカットがとてもよく似合っている。

 鼻も小高く一見するとハーフっぽくも見える。

 凛とした態度や性格は女子からも人気であり、男子からも告白を受けることが多い。

 登下校が同じでありながら、家も近いため海斗とよく話すようになった。

 葉月自身も海斗に恋愛的な感情を抱いているというよりかは居なくては困る存在となっている。




 学校の教室はすっかり冬使用で暖房がついてある。

 部屋に入ると外の寒さが嘘のように消えていく。

 席に着くといつも話している数人の友人が海斗の所へと押しかける。


 「おいおい海斗ー!昨日あれだってな、転生見たんだろ!?」


 そうそう、お前にもメッセしたけど見たんだよ、マジで驚いた


 「うらやましいなー!!!じゃあ次はお前が転生すんのかよ!」


 あの迷信は信じてねーよ、でもよ、転生するには条件あるじゃんか、無理だろあれは。


 「急にモテだしたりしてな!!ってお前葉月ちゃんいるじゃん、この浮気者!」


 付き合ってねーし、それにモテるために努力も何もしてねーしなー、無理そうだよ。


 「確かに、モテてたら今頃俺らの友達にもなってねーしな、上級の顔と知能になれないダメンズだもんな」




 学校というのは社会のようにシビアで階級が自然と分かれている。

 海斗達は5段階で分けるとしたら所謂3の部分にいる。

 本当に普通なのである。

 上級に属するのは所謂イケメンか頭脳明晰かスポーツが全国レベルのような奴らだ。

 



 ただし、友人には敵わないと言いつつも、昨日見た転生の出来事は嬉しかったのでまずは転生に関わる小説や情報、ニュース等を昨日は漁りに漁って調べていた。

 自分のできることで何か無いか模索していて見つけた答えもある。



ガララ


 いつものHRで毎日顔を合わせなければならない先生が入ってきた。


「大切な知らせがある、全校生徒に発表もするんだが、昨日2年A組の生徒が学校帰りに転生をした。」


「いつその生徒が戻ってくるかは不明だが、もしその状況を見ている者がいたら詳しく教えて欲しいという人が来ているので後で職員室に来るように。」



ドヤドヤ ドヤドヤ


海斗は自分が見たやつだと思いながら、後で職員室に伝えに行くかという気持ちになっていた。

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