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僕は転生に憧れを抱いた①

 うわああああああああああ!!!!!!


 ______パシュンッ_____



「あっ目の前で転生したね!!」

 隣にいる涼香葉月は指を指してそう言った。


「……本当だ、いいなー。」




 場面はコンビニ近くの交差点。

 坂から上がってくる車が左に曲がった瞬間に車とぶつかった状態である。

 信号の見通しが悪く昔から事故が多発している箇所である。

 どうも一つの家に植えてある木が信号と標識を邪魔をしているらしい。

 何度もこの家に市も立ち入っているらしいが切る様子も無い。近辺の住民は慣れている様子だが、普段この道を通らない車や人にとっては危なっかしい場所である。



「うらやましいよなー、本当に憧れるわ、俺なんかの本当になーんも変哲の無いような奴じゃ一生かけてもなれねー。」



 最近世間で騒がせている転生による怪奇現象は後を絶たない。

 そこで転生における条件が研究され発表されたのである。

 どうも、地域によって発生する条件は変わってくるらしいが共通している内容が出てきた。


以下はこの地域で転生できる条件だ。


・異性に少なくとも4人以上好意をもたれていること。

・モテているにも関わらず彼女・彼氏がいないこと。

・モテているにも関わらず異性に対し積極的にいかないこと。

・24歳以下であること。

・細身であること。

・イケメンである。



 あほか、無理だろ、この条件は。



 俺と葉月は学校帰り途中でたまたまその光景を見つけたのである。

 転生する瞬間を見たのは初めてだが、不思議と怖いと思わなかった。

 人と物がぶつかる瞬間は一瞬だった。その一瞬にまるで流れ星を見ていることだけしか出来ないように、俺らも何も出来なかった、驚きもしなかった。

 現場で音はしたものの、まばゆい光に包まれていたし、転生した者は消えたし、現場に血や痕跡らしいものは何も残っていなさそうだった。

 最初からそこに何も無かったかのように。



 ぶつけた本人、別の車から降りて確認する者、歩いている人、自転車を乗っている人、子供、俺らと同じように部活帰りだろう生徒、コンビニにいた客。。。。。

 皆見ていたが、皆何も無かったかのように動き始めた。

 当然俺らもだ。




 部活は別だが俺らはここ数ヶ月一緒に帰っている。

 同じ帰り方面、それだけである。

 毎日毎日続いて早1年経とうとしている。

 話の内容なんてくだらないもんだ、常に傍にいるかのように感じているくらい。



 「結局イケメンが優遇されるんだぜ転生って、ずるくないか?」


 「別に海斗だって普通の見た目じゃん、髪はツンツンしていてちょっとグレてるけど」


 「どうせ王子様的な見た目がもてるんだろうねー。俺はがっつりスポーツ系だから望み薄いわ」


 「あー!いじけてるのー?ちょっと可愛いところあるじゃん!」

 葉月はいたずらの笑みを浮かべながら俺をいじってくる。


 「うるせーなー、あーあ俺も転生してー!!!!!!!ハーレム世界とか俺つええとかしてー!!」


 「……。」



 葉月は少し顔をこちらに向けて優しく微笑んでいた。一緒にいてもあまり見たことない笑みだったので急に恥ずかしくなり顔を背けた。

 バカにしてるなこいつは。俺はそう捉えた。


 コンビニより少し歩き角を曲がった瞬間、急に勢いよく葉月は50m先辺りの大判焼きのお店に走り出した。毎日毎日部活帰りに買っている場所である。


 ……転生のことですっかり忘れていた。俺らのしょうもないルールで、大判焼きのお店が見えたら走って先に着いた方は奢ってもらうという謎ルール。



 艶のある黒いショートカットの髪が揺れている、スカートも跳ねている、勢いが有り過ぎるくらい走っている。でもその一瞬一瞬の光景が美しく見えていた。



「私の勝ちー!!!!!!!!!」

 先に着いた葉月は大声で俺に叫んで手を振っていた。



 へいへい、奢りますよ、ったくパッと見は顔も整っていて可愛いのによく食うんだから本当に。



 そんな所が少し愛らしいと思っていた。こういう日常も続けばいいなと感じていたが、海斗は先ほど見た転生の光景がどうしても目に焼きついてしまい自分も転生をしたい気持ちが一層強くなっていた。

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