吾輩はバスケットに恐怖心しかないのである。①
「ちょっとニャゴロー、私の仕事を手伝って。」
普段は恐ろしい仕打ちしかしない美也殿の姉上である小織殿。
今回は我輩に頼み事をしてきた。
グフフ、これで貸しをを一つ作ってやろう。
移動用のバスケットに入れられた我輩。
そのまま小織殿の所持する古い英国製自動車の後部座席へ。
なんだかんだ言っても小織殿は我輩用の様々なアクセサリーを購入してくれる。
オシャレな首輪。
品のあるリード。
外出用の服。
それにこのフリフリブリブリで乙女チック全開な移動用バスケット。
・・・冷静に考えたら我輩の行動を制限するものばかりでは?
飼いならされて野性を失った証の首輪。
自由行動なぞ一切許さないと、まるで囚人を縛るようなリード。
本来備わっている体温コントロールを強制破壊する様々な衣服。
バスケットに至っては、蓋が開くと、そこは家か病院の二択。
あれ?
今我輩バスケットの中にいない?
で、家から入れられたってことは・・・!?
「ニギャアアアアアアアアアッ!!!!!」
目一杯の抵抗で、バスケット内を激しく暴れまわる!
こうすれば流石の小織殿も・・・
「静かにせんかぁっ!!三味線にしてしまうぞおぉっ!!!」
{ガッタンバッタン!!}
「ニギャッ!!!ギャッ!!ギャ!・・・ォェ。」
どうやらバスケットを両手に持ってシェイクされた様だ。
ゲロまみれ・・・。
「あーあ、もう!罰として向こうへ着くまでゲロまみれで我慢なさい!!」
こうして彼女に逆らっても何一ついい事などないと改めて思い知らされる。
正直美也殿の仕打ちが可愛くさえも感じた。
それにしても今回はやけに移動時間が長い。
ゲロまみれでクサイ中、色々なパターンを予測する。
が、何一つ思い浮かばない。
よく考えたら、小織との移動など病院ぐらいしか思い当たらないからだ。
ウーム・・・?
「さてニャゴロー、着いたわよ!今日は頑張ってね!!」
珍しく病院以外で蓋を開けられたバスケット。
一体どんな仕事をやらされるのやら・・・。
――― つづく ―――




