表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
96/218

吾輩はセールのお手伝いをするのである。


 今日は商店街のスーパーで周年セールが行われる。

 我輩の仕事は今回その手伝いだ。


 朝9時開店との事なので、我輩は9時10分ごろ出かけるとしよう。

 重役出勤とでも言えばいいのかな?


 ―― 9時30分 ――


 ゴミ虫との格闘ですっかり遅れてしまった!

 それでも人出を見るに、まだ大丈夫の様だ!


 自動扉を半分死にかけの老人が開けるのを見計らって同時に入店。

 ほほぅ。

 結構なお客の量だな。

 仕事のやりがいがありそうだ。

 

 手始めにパッキングされた巨峰を集中的に爪で刺す。

 時々隣のマスカットも・・・。

 

 あっ!

 桃ではないか!

 これを肉球でグ~~~っと押すと猛烈気持ちが良いのだ!

 

 そんな訳で手あたり次第ギュッギュと全体重をかけて押す。

 数分後には我輩の芸術ともいえる跡が茶色く浮かび上がる事だろう。


 しかし先ほどから鼻を突くこの臭いはなんだ?

 非常に不愉快極まる!


 クンクンと嗅ぎながら臭いの元をたどるとそこにはキノコが!

 杉なのか松なのか訳の分からない葉っぱの上に置かれて大層御立派な事だな!

 しかもまだ熟していない小さなミカンまで添えて!


 なになに・・・こくさ・・ん・・ひろし・・ま?

 えぇい面倒だ!

 キサマなどこうしてやるっ!


 爪を引っかけてズタズタに裂いてやる!

 これがまた非常に面白く裂けるモノで、ちょっと爪を指してスッと引くだけ。

 たったそれだけで見事にパックリ裂けてしまうのだ。

 それを何度も繰り返しているうちに見る影もなくなってしまう。

 

 これを後50本ほどやらなけば・・・。

 結構な重労働だが仕事なのだから仕方がない。

 動かすのは口ではなく、前足としよう。


 30本を過ぎた辺りでなにやら騒がしくなる店内。

 我輩は尖った両耳を使い、情報収集を始める。


 (猫が・・・)

 (猫ちゃんが・・・)

 (店員さんに報告を・・)

 (教えてあげた方がいいんじゃない・・)


 嫌な予感がする。

 ハッキリ聞き取れなくとも、全人間がこちらの事を指させば自ずと理解できる。

 我輩自身、不幸の前触れだなと・・・。


 となれば早急に離脱!

 自動扉の開くタイミングに合わせてダーッシュ!

 素人ならここでそのまま走り去るのだが、ベテランの我輩は一味違う。


 途中ニャン吉の塒に立ち寄り、近くのスーパーでクサヤをばら撒いていると偽の情報を流す。


 あの臭いが大好きな彼は、堪らずダッシュ!

 速攻店内へと駆けこんだ!


 (店員さんこの猫よ!)

 (私見たもの!)

 (間違いなくこの三毛猫が犯人よ!)

 (ブドウも松茸も全部この三毛猫のせいよっ!)



 人間の目撃情報など如何にいい加減かよく分かるな。

 それはさて置き、今日も仕事頑張りましたねぇ~。

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=205125233&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ