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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩は町の平和を守るために働くのである。パート3


 なんとなーくしかオヤビンの寝床を把握していない我輩。

 ハッキリ言って迷っていた。

 だが・・・


 『どこの組のもんだあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』


 パンツ一枚で部屋から飛び出して来た初老の人間。

 あれがオヤビンだろう。

 おかげでバッチリ位置を確認。


 「ニャアーン?」


 偶然にもここで一仕事終えたニャン吉隊が我輩に合流。

 それならば仕事を手伝って貰う事にするか。


 そーっとオヤビンの部屋を覗く我輩。

 ふむ、だれもいないな。

 

 美也殿が見る”脱税摘発”番組では大抵の者があの場所へ隠している。

 そう、押入れの奥、更に奥。


 全猫は猫足でそーっと押入れに近づき、音もなくスーッと戸を開けた。

 外に見張りを残して、我輩自らが先頭を務めると・・・あった!

 もう一つの目的であるダイヤル付き鉄の箱。


 バカなオヤビンは鍵をさしたままではないか?

 こんなダイヤルなど美也殿から逃げる事を思えば何と容易いことか!


 カリカリカリっと何度かダイヤルを回すと引っかかる感じがある。

 それを数回繰り返すと・・・つながった大きな音が聞こえた。

 そこで鍵を咥えて捻ると・・・・


 {キイィィィ・・・・・}


 開いた!

 中には諭吉束と金色に光る板が複数枚。

 それと小麦粉?


 各猫達に通達!

 各自持てるだけ持って駄菓子屋縁の下まで運ぶことと!

 途中すれ違う猫達にも通達を言付ける!


 幸いなことに、金色に光る塊はペラペラのしか無かったので、運ぶのも楽ちん。

 もしこれが刑事ドラマでよく盗まれていた塊となれば運べなかっただろう。


 そして最後に粉だけが残る。

 これはオヤビンの寝ていたらしきベッドの上に運び、枕元にあったライターとやらで火をつけておいた。


 この間15分。

 我が猫達の手による一蓮托生の仕事。

 鼠小僧とやらでも真似は出来ないだろうよ!


 そんなこんなで屋敷の外を赤いランプが取り囲む!

 サイレンと犬の遠吠えが土砂降りの夜を彩ると、我輩達は一様に撤収開始!

 

 脱出して10分もすると、暗闇の町を一つの大きな篝火が明かりを灯す。

 何事かと顔を出す近所の住人たちに見守られ、屋敷の住人はパンダ色の車に次々と乗せられていった。


 彼等は口を揃えて言う。

 『この町には得体の知れないギャングが蔓延っている。二度と来るか!』と。



 次の日、町中の人間は超ハイテンションとなり、幻覚に悩まされたそうな。

 我輩達は町を守りましたねえ。

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