吾輩は巡回警備も行うのである!
ここ数年のバーベキューブームに乗り、公園でするバカ者の多い事。
今日はパトロールを兼ねて、我輩率いる総合ニャン警備会社が巡回を行う。
これは行政から正式なる依頼で、報酬は愚か者達の使用する肉などの食料。
ムムム!
早速不届き者が!
どうやら家族連れのようだな。
親が馬鹿者ならば、子はそれを見て育つだろうに!
親がポイ捨てするならば子供もポイ捨てをするドキュン方程式。
ここは一つ、総合ニャン警備の腕の見せどころ!
中心へと置かれたコンロに気を取られている間、警備隊が周りを取り囲む。
我輩はまずニヤ―吉に前足を上げて合図。
彼は”タレ”を奪ってどこぞへダッシュ!
グッジョブ!
次はニャン吉の出番。
ニャン太郎と二匹で大きなクーラーボックスを攻略!
一匹が上蓋を支えて、もう一匹が肉全てをボックスの外へ放り出す!
その後は二匹で咥えて走り去る!
ブラボー!
最後はいよいよ我輩の出番。
ハンマーの様な頭を取り付けた小さなスプレー缶。
その上にあるダイヤルをキュッキュッキューっと。
シューッと激しい風の音。
今度は電動歯ブラシの様なピストルの先を風のでる位置へ。
それでもってでカチッとな。
{ボボッ!・・ボオォォォォォ}
このままではマズいので、ダイヤルをクリクリっと捻って青い炎へ。
それを前足でコロコロころがしてっと。
カバンやリュックの置いてある位置へ到着。
ニャッハッハッハッハ!
燃える燃える!
非常によく燃えるぞ!
家族連れはコンロ上で激しいバトル!
肉の奪い合いで全く気付かない!
それならってことで、複数あるハンマーのついてない缶スプレーを全部燃えさかる荷物の近くへ転がしてやった。
この後は見るまでもなく、我輩は他の猫達と合流する事にしよう。
肉を女神に献上する儀式も残っておることだしな。
その日公園では連発花火に似た爆発があったそうな。
不思議な事に、離れた場所へと置いてある荷物が燃えて灰になったのだとか。
おかげで反対側の川縁でバーベキューを楽しむ一家には、誰一人として怪我をする者が出なかったとの事。




