吾輩は祭が大好きである。
祭。
それは人間達による神事のお手伝い及び若者たちのガス抜き。
注:諸説あります
村中から人々が集い、飲めや歌えの大騒ぎ。
人手が多いとなれば、出店モリモリ気分もアゲアゲ!
なにもハイテンションとなるのは人間だけではない。
我輩達も大忙しとなる。
どこの町内にも一つや二つの祭りごとがある。
そしてこの商店街にも・・・。
今回は商店街に山車が出る数年に一度のお祭りが開催される。
脇道には複数の露店が軒を並べて町中に香ばしい香りが。
今回我輩のターゲットとなる営業先の露天は”綿菓子”なる蜘蛛の糸。
パンパンの袋に詰められた釣り糸の様なモノで子供達に大人気。
ふむ。
思ってたより売れるんだな。
ボッタクリのクセに。
ほほぅ。
あのマシンから蜘蛛の糸が出てきて、それを割り箸に巻き付けるのか。
それにしても見事なものだな親父よ。
見る見る糸がダマになっていくではないか?
仕事師としては少し尊敬するぞ。
ただその絵はいかん!
時折胸元や袖口から見える緑色の絵は!
まぁ、親父だけではないのだがな。
イカ焼きのねーちゃんなど、イカを焼かずに自分の手を焼いたのか?
手の甲に丸い火傷の跡が沢山あるのはナゼ?
タコ焼き屋のにーちゃんなんて歯が殆どないではないか?
それも抜けたといった感じではなく、ボロッボロ。
溶けたのか?
店員に共通するのは、キンキラキンの頭かパンチパーマ。
業界の正装なのだろうか?
牛串なんて本当に牛の肉か?
もしかすると人間の・・・
出店に於ける従業員達の生活態度を思案中、綿菓子屋の親父が席を外した!
大チャーンス!
先ずはタコの卵みたいに複数ぶら下がっているパンパンの袋を爪で引っ掻く。
シャーっと裂けて、なんと気持ちの良いことだろうか!
「ニャ?」
偶然そこへニャン吉が。
我輩は目で合図して、いっしょにやらないかと促す。
彼は即承知、我輩の隣を陣取った。
その後は2匹でザックザックと裂きまくる!
この時遠くに親父の姿を発見。
緊急退避!
しかし、あろう事か、ニャン吉は裂くのに夢中で気が付かない。
このままでは・・・
「あっ!テメーコノヤロウっ!!!」
「グニャアッ!!」
捕まってしまった。
そして見るに堪えない仕打ちを受けるニャン吉。
あまりの痛々しさに我輩店を後にした。
今回綿菓子屋の目玉は三色のカラーリングが施された”三毛綿菓子”
口に入れるととろけて無くなるどころか、猫の毛が口の中へ入ったみたいにいつまでも残り、不愉快極まりない商品だったそうな。




