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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩は腐った御子息を見たのである。


 まだまだ残暑厳しいこの季節。

 今日は室内で仕事をすることにしよう。


 商店街の店は何処へ行っても大概涼しくて過ごしやすい。

 いつもの八百屋や魚屋などのルート営業では業績を伸ばすのも難しい。

 久しぶりに飛び込み営業でもしてみるか・・・。


 我輩が目をつけたのは、結構な老舗のカフェショップ。

 しかしここは入るタイミングが難しいのだ。


 そこは我輩、既に下調べ済み。

 毎日欠かさず来店する客をリストアップ!

 今回のターゲットはこの人間にしよう。


 いつも御子息の学校が終わって暫くすると訪れるダンディーな雄。

 時々ゴミ虫の店で見かけたりもする。

 もしかしてヤツの兄弟?


 そんなくだらないことを考えているとダンディーな雄がやって来た。

 店の自動扉が開いたと同時に飛び込んでやる・・・今だ!


 「いらっしゃい・・・あっ!」

 {パリパリーンッ!}


 「なんだよ三河君、今日は誰かと待ち合わせとか?」


 御子息だ!

 御子息も同時にやって来た!

 我輩の存在を気付かれればクシャミタイフーン間違いなし!

 もし御屋形様にそれがバレたら三味線にされてしまう!

 

 しかもあの雄と知り合いのようではないか!?

 もしかして今流行りの腐った付き合いなのか?


 「ねぇおっさんさん、今猫入って行かなかった?あの猫ってどこかで見た気がするんだよなぁ?」


 キサマんチの飼い猫だ馬鹿者!

 どうやら腐っているのは御子息の脳みそみたいだな!

 何故あの聡明な御屋形様からこんなスポンジ脳のバカ息子が生まれてくるのだ?

 この世の七不思議だなまったく!


 グヌヌ、このままでは今日の業務が・・・

 仕方がない、諦めるとするか。

 このウンウン唸る大きな機械の下にある小さなボタンを押して帰る事にしよう。



 その夜。駅前商店街にある老舗喫茶店で食中毒騒ぎが発生する。

 大型冷蔵ストッカーの電源が落ちた事に依るケーキなどの腐敗で、店内に悪臭が漂い一時騒然となったそうな。

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