吾輩は賊退治をするのである。
「商店街に泥棒が出たんだって。物騒な世の中ねぇ。」
ゴミ虫バイク店で庭の手入れをしていた我輩の耳にそんな話が。
「ホントよね。ねぇお母さん、ウチは大丈夫かしら?」
イソイソと敷かれたばかりの芝生を剥がすのに精を出す我輩。
するとゴミ虫のチチ娘がこちらへ来た。
「ねぇニャゴロー。コレあげるから今晩店を見張ってて!」
その手には超高級な軽く炙ったクサヤが!
早口でよく分からなかったが、今晩店に泊れと言っているのだけは聞き取れた。
つまり用心棒だな。
「ニャァーンニャン!」
デカチチの手からクサヤを咥え取ってオーケーの返事をした。
―― 夜10時 ――
我輩店のカチャカチャマシーン横で待機。
賊の侵入に備える。
ゴミ虫が店を閉めてから2時間弱。
その間我輩はせっせと罠を仕掛ける。
これが結構骨の折れる仕事だった。
{カタカタン・・・}
来た!
思った通り、シャッターのある方向ではなく本宅の方から侵入してきた!
なぜならゴミ一家は縁側のガラス戸にいつも鍵を掛けない。
もし我輩が賊ならば、間違いなく侵入経路はそこからだ!
となれば廊下を通って突き当りにある押入れに入り、そこから屋根裏へ。
そのまま店先まで繋がっているから難なく侵入できる。
そこに先ず、この場で拝借した潤滑剤なるものをダラダラに撒いた。
缶に入っているから運ぶのに苦労したものの、上を前足でグイっと押せばプシャーっとでるから撒くのは意外に簡単。
{ガッタンガタタンガッシャーン!!}
滑って落ちてくる場所はこのカチャカチャマシーン手前。
ゴミ虫が我輩用に拵えたハバネロパウダーを落下地点辺りに撒いておく。
因みにパウダーはマシーンの陰へ隠すように置いてあった。
{ドスン!ボフッ!!}
「ニギャ!」
ニギャ?
この賊は猫の様な声をだすんだな。
一体どんな輩なのだ?
カチャカチャマシーンの棚からそっと下を覗いてみると、そこには見慣れた三毛猫カラーが・・・。
「ニャッ!?」
賊は上段にいる我輩に気付いた!
驚くほどのジャンプ力で我輩に飛びかかる!
「ニギャァァァァァァァッ!!!!!」×2
冷静になって考えれば我輩の抜け道を使えるのは同じような動物。
人間などでは無理がある。
これを教訓に次の仕事へと生かすことにしよう。
その日の夜、バイク屋の前で店主に摘まみだされたハチワレと三毛の猫が目を擦りながら道路を転がりまわっていたそうな。




