吾輩はモノが直ぐ腐る夏が苦手である。
夏!それは我輩にとっては戦いの毎日。
一瞬たりとも気を抜けぬ日々。
この時期になるとロクなことは無い。
公園で猫缶を食していたら酸味が利いて夏場にはサイコーだなと思った次の日下痢。
商店街の魚屋ではツーンと刺激するニオイの刺し身。中毒を予防するための何かをほどこしてあると思い食せば即下痢
肉屋の主人が珍しく松阪牛をくれる。深緑色に変色して糸を引く熟成された高級品とほぼ丸のみにするも、暫く続く下痢。
駄菓子屋のババァが菓子以外に天ぷらをくれるも、中身がイカで下痢。
脱水症状のまま、パン屋の前を通れば、娘にイヤラシイ臭いがする液体を無理やり飲まされて下痢。中身は何が混ざっているのだろう?
精力をつけようとウナギ屋の主人に生の身を貰い食すれば、即座に襲う激しい痙攣と下痢。
このままではマズイと給水の為、”ドブ”なる場所を流れる栄養満点の結構臭う水を飲んだら更に激しい腹痛と下痢。
それでもめげずにいつもの日課を熟す。
幸いどれも数日寝込むぐらいの初期症状だったようで、毎回川を渡る夢を見るに留まる。
いつも川を渡り切る一歩手前で目が覚めるのはなぜだろう?
しかしある時美也殿に掴まる。
「あ!ニャゴローなんか弱々しくない?風邪かなんかかなぁ?よし、菌を追い出すためにこの魔法の粘土を塗ったげる!!」
それは緑色のキャップと黄色のキャップで中身も同色なネリ状の物。なんだろう?
「粘膜からくるらしいから目、鼻、口にはワサビを、お尻の穴とチンチンの先っちょはからしね。これで明日から元気をとり戻せるわよ!!」
美也殿の言っているそれが何を意味するのかは分からないが、その後体中の体液が全て噴き出すほど痛くて苦しかった覚えが少しだけある。
何故少しだけかって?
それは勿論気絶したからだ。
日中殆ど仕事にならなかったので、それを補うため、真夜中働くことにする。
その仕事とは、美也殿の眠る布団の中へ潜り込み、股の部分に大量のオシッコをしてやる事。
次の日半泣きの美也殿を見て、今回もいい仕事をしたと自分を誇る我輩であった。