吾輩はカエルの卵など食べないのである!
近所の公園にわらび餅屋が来た!
どんなものか分からない我輩は、早速敵情視察へ。
その店は公園外に路上駐車した小さなトラックで営業している。
となれば、公園内では許可が出なかったのだな?
調べるべくもう一歩近づいて観察することに。
ふーむ、小汚い親父が一人で切り盛りしている様だ。
傷だらけのクーラーボックスなる物からなにやら掬い取ってるな?
位置が悪くて見えないので移動。
なんだあれは!
透明のブルブルしたカエルの卵ではないか!?
人間はあんなものを口にするのか!
その後黄色い粉へカエルの卵をぶち込む親父。
知っているぞ!
それは美也殿がよくTVで見る警察24時に出てくる違法な粉だろう!
あれを吸引すると廃人になるそうではないか!
しかもそのTシャツの袖からチラチラ見える絵はなんだ?
気になるではないか。
TVショーの違法な粉を売る売人も確か背中に絵がかいてあったはず。
確かめるべく、その時が来るまでじっと耐える。
すると親父はトイレに行く為、店を放置して何処かへ消えた。
チャ~ンス!
素早くトラックの荷台へ乗り込み、違法薬物を前足で体にポンポーンと。
これで何処からどう見ても虎模様のニャー吉にしか見えないだろう。
親父が帰って来たから早速仕事に取り掛かる!
先ずはかく乱の為、クーラーボックスに狙いを定め・・・
「あっ!こら・・勝手に荷台に乗るなよ。」
見掛けと違い、猫好きと見える親父。
その顔はデレッデレ。
だからと言って甘やかしてはいけない!
器用に前足を使いクーラーボックスの蓋をオープン!
へチに飛び乗り後ろを向いてジャアァァァァァっと!
「あっ!テメー何しやがるっ!!」
我輩から見ればキサマなんてデンデン虫よりのろまだわ!
今度は違法薬物の中でプリプリプリ・・・
「このやろテメーっ!もう勘弁ならんっ!!」
襲い掛かる親父をヒラリとかわして背中に飛び乗る!
この時爪を引っかけてシャツを半分捲る事に成功した!
そこには見事な銀色のニシキゴイが。
あまりのリアルさに、我輩爪を立てて力いっぱい引っ掻いた。
「ギャアァァァァァッ!!!」
プラチナの鯉が血で紅白に!
ヒイィィッ!
止まらない血にビビった我輩はこの場を脱出!
しかし親父は包丁らしき物を持って我輩を追いかけて来た!
「コノヤローッ!ブッコロしてやる!!」
親父を巻くため、偶々止まっていたパンダ柄の車の下へ身を隠す我輩。
諦めの悪いやつめ!
まだ追いかけてくる!
しかしガチャリと車の扉が両方開くと、出て来た人間に親父は挟まれる。
そしてなにやら話を・・・
「銃刀法違反で現行犯逮捕ね。ダメだよー、道路でドスなんて振り回しちゃ!」
「いや、ワシ真面目な堅気に戻ったのにドラ猫のやつが・・・」
その後、二度と公園の周りでわらび餅を販売する車を見ることは無かった。
我輩の仕事も少しは町内の為に役立っただろうか?




