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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩は貴様等の上司である。


 公園の猫会議である議題が出た。

 ニャー吉によれば、『ヌートリア』なる大きなネズミが幅を利かしているとか?


 そんなモノ好きにさせておけばいいではないか。

 などと心の中で思い、我輩はつまみのドライフードをカリカリと・・。


 しかしある言葉が我輩の態度を一変させる。

 ばら撒きババアの持ち物をヤツは奪い取ったそうなのだ!

 時々食堂にも出現して一切合切奪っていくこともあるらしいのだ!


 こうしてはいられない!

 今回臨時に警備会社を立ち上げた我輩は、公園内にいる猫を強制就職させる。

 勿論反抗する猫も見られたが、つまみが無くなるなどと脅して説得!

 

 営業は大の得意な我輩。

 説き伏せるのは専門分野。

 所詮は野良猫、食うもので釣れば簡単に落ちてしまうのだ。


 先ずミィーティングで敵の生態を丸裸にする。

 近代戦とは情報戦、データをいかに扱うかが勝敗を分けるのだ!


 なるほど、夜行性か。

 夜は我等警備員の得意とするところ。

 コッソリ不意打ちや待ち伏せなど、正々堂々叩きのめしてやる!

 

 なに、水中戦だと?

 バカな事を・・・。

 水の中はヤツのホーム、仕留めるなら地上戦だな。


 その後様々な作戦が提案され、本日夜中に決行される運びとなった。


 

 ―― 丑の刻 ――


 食堂付近の草むらへ複数の班に分けて配置。

 A班はニャー吉率いる足止めチーム。

 B班はニャン吉率いる噛みつきチーム。

 C班はニャン太郎を班長としたネコパンチチーム。


 我輩はニヤちゃんと二匹っきりで監督。

 じょ、上司だから当然であろう!


 {がサガサッ!}


 身を伏せて数分もしないうち、計算通りにヤツがその姿を現した!

 近くで見ると思いのほか小さい体!

 アレ?

 もしかして子供?


 「ニャアーッ!!」


 相手情報を分析中の我輩が合図をする間もなく一斉に飛び出す猫警備隊!

 えぇいバカモノがっ!


 激しく抵抗する『ヌートリア』!

 しかし数えきれない猫達の攻撃には無駄な足掻き!

 彼等はこの国に於ける優秀のハンターたちなのだ!


 勝負はあっけなくついた。

 懲らしめるつもりだったが、少々やりすぎた様だ。

 我輩達は全匹集合し、男らしく戦った彼に黙とうを捧げた。

 

 これで公園に平穏が訪れるだろう。

 今日もいい仕事しましたねぇ。


 

 三河家早朝テレビにて。

 

 「今朝のニュースです。絶滅したと思われていた”日本カワウソ”が未明の公園で死体となって発見されました。関係者らは、これによってまだ複数の個体が存在しているとの見識を持つ一方、もしかしたらこの個体が最後の一匹で完全に絶滅したのではとの考えも。尚、傷跡から複数の猫による・・・」



 

 

 

 

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