吾輩は信玄公ではないのである。
風林火山。
歴史上に於ける、とある武士の軍旗に書かれた孫子の句。
その意味をご存知だろうか?
三河家ご子息の歴史本から学習したこの言葉を我輩も仕事に役立てようと思う。
所々曖昧な解釈の為、猫に置き換えて我輩流に説明しよう。
疾きこと風の如く。
魚屋の主人が少しでも席を外そうものならば、陳列された商品棚の周りはあっという間に猫の集団に囲まれてしまうだろう。
それを人間が見た時、初めて商店街に住む猫の多さに度肝を抜かれる事となるに違いない。
徐かなること林の如く。
猫達は知っている。
早朝に野菜や魚の取引が行われている事を。
配達人がそれらを運んでくるまで、悠然と待ち構えているであろう。
一部水曜日(市場が休みの時)でも延々と待っている馬鹿者もいるが・・。
侵略すること火の如く。
店番がその姿を消した時、一目散にカチャカチャマシーンの中へ諭吉ハント!
このスピードは怪盗ルパンでも成し得ないであろう。
特に我輩がうろついているときは非常に危険だぞ?
動かざること山の如し。
一度パソコンのキーボードへ腰を落とした猫は微動だにしない。
それはピアノなどの鍵盤も同じ。
実は猫達、表計算やワープロソフトを理解していて、敢えてその時に狙いを定めているのだとか。
と、ここまでは武将の軍旗に書かれていた句の話だが、本来の意味はまだ続く。
”陰雷”が抜けているのだ。
知りがたきこと陰の如く。
闇に紛れての隠密行動は猫の得意とするところ。
人間どもが知り得ない情報を彼等は共有しているのだ。
愚かな者達は、既に店頭から商品が消えている事すら気付かないだろう。
動くこと雷霆の如し。
圧倒的優位になれば直ぐに行動する猫達。
誰もいない事を確認後、公衆便所でのトイレットペーパーを引き出すその姿は雷そのもの!
可愛い姿に騙されて猫達を飼うと、必ず一度は雷霆様を見る事となるだろう。
とまぁ、この二項は今の我輩に必要ないのだが・・・。
なんだ、既に猫達は”風林火山”を実行しているではないか?
孫子とやらも、我輩達の御先祖様を見てこれを説いたのではないのか?
それでは早速復習のために、肉屋へ営業をするとしようか。
店へ行くこと風の如く
肉屋の親父が消えるのを待つこと林の如く
高価な霜降り肉をピンポイントで狙って咥えること火の如く
三河家ご子息の部屋にて、その肉が無くなるまで食い続けこと山の如し
今日も冴えわたる風林火山であった。




