吾輩は優しい女性が大好きである!
「あらニャゴローちゃん。コンニチワ。」
最近我輩が寄生する三河家に於いて、とある理由で様々な女性が頻繁に出入りする。
特にこの”小糸”と呼ばれる人物を我輩は気に入っている。
大好物の手羽先や、焼き鳥なるものを良く持参して来るからだ。
だがそんな彼女にも一つだけ大きな問題が。
自分以外に誰もいなくなると、我輩をそのセクシーな膝の上に乗せ、
「ねぇニャゴローちゃん。ちょっと私の頼みを聞いてくれる?二階にある彼の部屋へ行ってこの私が使っている香水と同じ成分のコレをまき散らしてきてほしいの。今度は違う物持ってくるからお願い!ねっ!!」
どうして我輩が人語を解する事を知っているのかモーレツ謎。
しかし普段お世話になっている事もあり、二つ返事で仕事を請け負う。
『ニャッン?』
すると彼女はニヤリと笑い、何かの動物をぶち殺して剥ぎ取った皮で作られた鞄の中から怪しい小瓶に入った物を渡してくる。
「じゃあお願いね。いってらっしゃい。」
我輩はダッシュで御長男の部屋に向かう。が。途中美也殿の部屋から何かいい匂いが。
そっと扉を開けると机の上にあるのはなんと高級フルーツと呼ばれる佐藤錦!
辺りに誰もいない事を確認、そして大口で頬張ると・・・
消しゴムだった。
つくづく我輩とは合わない美也殿。
不愉快だったから咥えて持って来た小瓶の中身をベッドにぶちまけてやった。
部屋を出ても苛立ちが収まらない我輩。
今度は御長男の部屋へ行き、部屋中を走り回って毛まみれにする。
ついでに忘れて行った筆箱の中にあるシャープペンシルとやらを自動鉛筆削りとやらに全てぶち込み、元の原型を失くしてやることに成功。そのまま放置した。
消しゴムは窓から投げ捨てた。
リビングに戻ると、まだいる小糸殿。
その膝元に飛び込むと、我輩の丸い背中を撫でながら優しく話し掛ける。
「いいコねーニャゴローちゃん。次も頼むわよ。」
こうして我輩は次の契約にもこぎつけた。
いい仕事してますねぇ~。