吾輩は特異な習性がある!
最近至る所に罠が仕掛けられている。
性格上、床に輪っかなどを置かれると、入らずにいられないのである。
それはなにも丸に限った訳では無い。
”丁度いいサイズ”、これに尽きる!
更には夏という季節は色々な意味で我輩達を殺しにかかってくる。
暑さといった凶器が、罠に追加効果を乗せてくるのだ。
道路を歩いていると、錆色の混ざったまあるいモノが!
早速座ると・・・
{ジュッ!}
「ニギャアッ!!」
危なく猫ステーキになるところであった。
あの素材は特に危険で、評価はトリプリAだ。
”汚水”と彫刻してあるものは要注意だな。
家の周りを探索していると、”水道栓”と地面に書かれたモノが・・・。
ドレドレと思い、そーっと前足から・・・
{ジュジューッ!}
「ニギャギャアッ!」
少しだけ肉球を痛める。
自然の熱量で加熱されていたらしい。
度重なる仕打ちにイライラも募る我輩。
冬は冬で寒すぎるし、夏は夏で暑すぎるし・・
一体この国はどうなっているのだ!
腹が立ったので、公園にばら撒いてある餌を全て食べてやる!
などと息を巻いて猛ダッシュ!
すると、駐車場の入り口付近に何やらまあるいモノが。
近づいてみると、我輩の顔がギリギリ入りそうな穴がある。
って事は、もしや体も入るのでは?
そっと後ろ足を入れてみると・・・なんだかいけそう!
やがてお尻まですっぽりと・・・すっぽり?
動けない!
下半身が完全に嵌ってしまい、どうにも足が動かせない!
今の状態を外から見れば、まるでプールで溺れかけた人が、必死でプールサイドにしがみついている格好と同じだろう。
惨め過ぎる!
なんとか脱出しようと、必死にもがく我輩!
この時、数メートル横にある不思議なものが視野に入った。
「ニャニャッ!」
なんとそこには我輩と全く同じ状態の猫が!
よーく目を凝らして見ると、どうやらニャー吉のようだ。
全くもって間抜けな格好だ。
これが笑わずにいられるか!
「ニャハハ」
勿論、向こうも我輩を見て大爆笑。
バカとマヌケの笑い合い。
次の日、公園の駐車場へ鎖を張る為に支柱となるポールを差し込む穴から、レスキュー隊員によって救出される猫二匹のニュースが新聞の一面を飾った。




