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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩は新規お得意様を作るのである。


 商店街に新しいお店が出来た。

 仕事師の我輩は早速ご挨拶へ。

 タイムイズマネー、営業はスピードこそ命。


 途中でニャー吉、ニャン太郎の二匹と合流。

 真っすぐその場所へ向かう。


 『回転ずし』

 

 新しい店にはそんな看板が掲げられている。

 どんな店なのだろう?


 中を覗くと、店自体は既に完成している。

 今は開店準備に追われているといったところか?


 正面玄関は大忙しで、猫の子一匹通る隙間すらない。

 ならば裏手へ回るのみ。

 

 思った通り裏口は手薄で、しかもドアが開けっ放しになっている。

 三匹の猫はニヤッと笑いながら店内へ。


 中へ入った瞬間、猛烈に鼻をつく生臭い臭い!

 それもそのはず、床には白いキュッキュ鳴る箱に入った大量の魚が!


 ここで我輩達三匹は緊急会議。

 一匹が一尾咥えて店を出ようと企む。

 それは今晩公園で行こなう猫会議で公園内の野良も交えて盛大に振る舞おうとの結論に。


 それではと、早速仕事に取り掛かる。

 ニャー吉はまず、二尺はあろうかと思われる”スズキ”を咥える。

 そしてニャン吉も、同じぐらいの大きさをした”キジハタ”を。


 我輩だってプライドがある。

 こんな小汚くて同情を誘うような二匹の野良でも勝ちを譲る気はないと、自分の身体より遥かに大きな”ブリ”を咥えた。


 三匹は競うように魚を店から引きずり出す。

 それにしてもこいつは重労働だ。

 せめて”アジ”ぐらいにしておけばと激しく後悔。


 従業員は忙しいからか、意外と簡単に店から外へ出る事が出来た。

 勿論、店内には名刺代わりの糞を垂れておく。

 

 しかしここからが勝負!

 これを如何にして公園へ運ぶのかって事だ。


 商店街の中、ズルズル魚を引きずりながら歩く猫達。

 目立たないわけがない。


 「あっ!おまえらまた店から魚持っていきやがったな!!」


 運の悪いことに、魚屋の親父に見つかってしまう。

 しかもその手には柳葉包丁を持っているではないか!


 今日は体にファンデーションを施してない我輩。

 ここは逃げるしか選択が残されていない。

 

 命は大事と泣く泣くこの場を去る事に。

 当然それは、他の二匹も一緒。

 グヌヌ・・・。


 「相変わらず逃げ足の速い猫達だな?・・・アレ?俺今日こんな魚仕入れたっけ?」


 その日は魚屋で、”ブリ”・”ハタ”・”スズキ”の切り身が大安売りされて、たいそう賑わっていたそうな。

 

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