吾輩は水濡れがウザイのである!
茹だるような暑さの中、今日も仕事に夢中な我輩。
夏の嫌なところはなにも暑さだけではない。
{ゴロゴロゴロ・・・}
やはり来たな?
先程から西の空が真っ暗なので、もしやとは思ったが・・・。
{ポツ・・ポツ・・ザアァァァァァ}
「ニギャッ!」
避難が間に合わず、ずぶ濡れになってしまった。
土砂降りから逃れる為に思わず飛び込んだ場所は、なんと病院の犬小屋。
普段ならいきって飛び出すビーグル犬だが、こやつはどうもゴロゴロ様が苦手らしい。
その証拠にブルブルガタガタ震って自分の縄張りにも係わらず、我輩を無視。
本当にキャン玉ついてるのか?
確かめる意味も込めて、小さなキウイみたいな袋へ全体重を乗せた猫パンチ!
しかも5連発!
「ギャインッ!」
尻に火が着いたのか、ゴロゴロ様なんてどうでも良くなり、ターゲットを我輩に。
小屋の中では逃げ場もなく圧倒的に不利。
渋々ザーザー降りの中、飛び出すことに。
グヌヌ、べちゃべちゃでキモい。
一度濡れてしまえば何度濡れても同じこと。
このままバイク屋のゴミ虫のところへ。
「うわっニャゴロー、ベッタベタじゃないか?少し待ってろよ。」
我輩を見るなり奥へ消えて行ったゴミ虫。
一体何を企んでいるのだ?
「ほら、この布で体を拭いてやるからこっちへこい!」
お、ゴミ虫のクセに気が利くではないか。
偶にはそんな日もあるのだな。
「ほーうら、油でドロドロのウエスで体を拭いてやる!」
{わっしゃわっしゃわっしゃ!}
「ニギャギャギャ・・。」
少しやり方が粗いものの、ヌチャッとして思いのほか気持ちがいい。
高級エステでのオイルマッサージとはこんな感じなのだろうか?
それは数分間続けられた。
「ほーれ、出来上がり!これで雨に濡れてもバッチリだ!!」
終わったようなので、すっかり疲れも取れた我輩は家へ帰る事に。
途中雨に濡れるも、どう言った訳か水の弾くこと弾くこと。
これでもう、悪天候なんて怖くないぞ!
本来の体を拭くという行為を、体が水を弾くといった出来事でテンションが上がってしまい、記憶がすり替わってしまったという事実に我輩が気付くのは、三河家のボス猿にテポドンを落とされた後だった。




