吾輩はハンバーグが恐ろしいのである。
夏は忙しい。
仕事によっては午前中が勝負なのだ。
例に習って先ずは駄菓子屋から。
ほほぅ、これから洗濯物を干すのか。
しかもうまい具合に人間の気配が近くにはないと来たもんだ。
「ニギャー!」
どこぞのスーパーから盗んだ買い物かごを使用している駄菓子屋に神の恵みを!
などとクダラナイことを想像しながら籠をひっくり返してやる。
そのまま洗濯物にダーイブッ!
上出来だ。
程よく湿っているから、我輩の毛があちらこちらにくっついている。
ニャゴロー愛のプレゼントを有難く頂戴しろよ!
次はウナギ屋の倉庫へ。
山のように積まれた籠。
これは一体何に使用するのだろうか?
なんとなく一番下のヤツを爪でガリガリしてみる。
気持ちいいではないか!
そんな訳で激しくバリ掻いてやる。
「ニャッ!」
いかん、爪が引っ掛かってしまった!
激しい音を立てて雪崩の如き崩れ行く籠、かご、カゴ。
俊敏な我輩は華麗にバックステップして九死に一生を得た。
ふぅ、油断大敵であるな。
倉庫中ににょろにょろ何かが蠢いていたが、面倒なのでガン無視を。
次は肉屋でも行くとするか。
「お、猫が来た。」
珍しく店主に見つかってしまう。
体裁を繕うためにカワイイアピールを決行。
「ニャニャーン?」
店主の足に尻尾をピーンと立てて体を擦るように纏わりつく。
何度も何度も・・・それはもう執拗に。
「なんだこの猫は?やけに人懐っこくてかわいいな。何時もの太々しい三毛猫とは大違いだ!」
ここの店主は記憶障害なのか?
我輩ほぼ毎日貴様の店へ顔を出しているぞ!?
「猫よ、こっちこい。高級なメンチカツをやろう。」
笑いながら我輩に揚げ物を差し出す肉屋の店主。
くれるというのか?
その割には悪だくみ満載な、にやけていけ好かない顔だな?
まぁよい。
近所のニャー吉にでも毒見をさせるとするか。
とりあえず、これを咥えてっと・・・
{ジュッ}
「ニギャアァァァァァァァァァーーーーーっ!!!!!」
中から溶岩が!
溶岩があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
「どうだ?揚げたてて肉汁が煮えたぎるメンチカツのお味は??ヒヒヒ。」
あまりの高温にのた打ち回る我輩。
ここに油断があったんだな。
「ほら、つーかまえた。」
「ニャヒィッ!」
いとも簡単に肉屋の主人へと捕らえられてしまった。
次の日肉屋では、やけに薄いハンバーグが破格で少量売り出されたそうな。
一体なんの肉屋やら・・・。




