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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩は仏壇なんて知らないのである。


 いつものように商店街へ。

 すると八百屋から大魔法の呪文が聞こえてくる。

 声のする方へ猫足で近づき、家の中を覗きこむと・・・

 

 「あなかしこ~あなかしこ・・・。」


 俳句大会か?

 おかしな着物姿の禿げ頭を先頭に、黒いタンスの前へ正座する八百屋一家。

 なんだこの絵面は?


 「ここで少し休憩をしましょう。」


 ハゲがそう言ったら、家族ともども違う部屋へ行ってしまった。

 チャーンス!


 忍者も羨む軽快な身のこなしで、黒いタンス前へ瞬時に到着する我輩。

 ・・・よく見えない。


 トントーンと大きな扉が開いてる黒いタンスの上段へ・・・。

 するとそこは、金を贅沢にあしらった素晴らしい小部屋になっていた。

 

 やや!?これは八百屋のジジイではないか?

 小さな額縁に隠れてているジジイ。

 キサマ死んだのではないのか?


 ならば挨拶の一つもと、爪を立ててガリガリ表面を削るが何の音沙汰もない。

 無視かジジイめがっ!

 

 腹が立ったから下に落としてやった、

 その隣にあった黒くて小さい墓石のようなものも序にポイーっと。


 それにしてもここは暑いな。

 よく見れば左右に蝋燭、下段に火のついた抹茶素麺があるではないか。


 先ずは臭い煙をだしながら燃えている素麺を小さい額縁と同じ場所へ捨てる。

 そして次は蝋燭だ。


 右側はすんなりフッと息で消すことに成功。

 そして反対側の蝋燭を消すために振り返った瞬間!


 「ニギャアアアアッ!!!」


 {ガチャガチャガッチャーンッ!!}


 熱い!

 蝋燭に尻尾が触れて火の近くから透明なお湯が降って来た。

 不思議な事にソレは我輩の尻辺りに着くと白く固まって取れないではないか?

 

 これには堪らず大慌てで黒いタンスから飛び出す。

 そのまま近所の魚屋にある商品が並べられたケース内目がけて猛ダッシュ!

 丁度店主が居なかったから”キンメ”に腰をつけて冷やし、事なきを得る。

 折角なので背中のいい部分を齧っておくか。


 「あぁっ!母さんっ!!仏壇の蝋燭が下に落ちて火がっ!!!しかも滅茶苦茶だぞ!?どうなってるんだこれは?」


 などと八百屋の方からパニくった声が聞こえてくるも、我輩には一切関係ないと無視を決め込む。

 尻も大したことはないようなので、帰る事にしよう。

 それにしてもキンメの身は美味しいなぁ。



 その後、八百屋へは消防車なる赤い大きなトラックが出動して一時騒然となるも、ボヤ程度で済んだと商店街の連中はホッと胸を撫でおろしたそうだ。

 


 

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