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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩は魚助けに精を出すのである。


 数日前の事である。

 

 なんだかとても町が騒がしい。

 どうやら役所に賊が侵入したとの事だ。


 泥棒が入った訳では無く、愉快犯との噂がある。

 何も盗まれた形跡が無いそうだ。


 しかし一部で動物愛護団体の仕業ではないのかとも言われている。

 公園内に住む野良猫一掃プロジェクトの重要書類がメチャメチャにされていたと。


 しかし一方で、議員様の絡む土地収賄を誤魔化す為の巧妙な罠との話も。

 役所がたいした審査もしないで貸し出し、それを又貸しして利益を得ている不届きモノがいるそうな。

  

 どれが本当なのかは分からないが、世の中悪知恵の働く者がいるのだなと、違う意味で感心する。


 

 商店街にて。


 こちらも大騒ぎをしていた。

 なぜなら八百屋に泥棒が入ったらしいと。

 

 犯人は小銭に目もくれず、一万円札ばかり盗んでいったとの話。

 しかし一万円とはどれの事だろう?

 茶色い諭吉専門の我輩には無関係だな。


 それにしても今八百屋には商店街中の人間が集まっているのではないか?

 って事は・・・


 ダッシュで魚屋へ向かう我輩。

 店に着くと、思った通り誰もいない。


 笊売りしている魚を見て以前から思っていた。

 こんなに小さいのまで乱獲するから資源が減って行くのだと。

 どうしたらそれを人間に理解させることが出来るのだろうかと。


 取りあえずは、出来る事から先ずしよう。

 これも業務の一環だ。

 

 緑色の笊に乗せられた複数匹の”豆アジ”。

 こんな小さい魚をよくもまぁ・・なんて恥知らずな!


 裏を流れる用水へ籠ごと放り投げて逃がしてやる。

 元気で海まで辿り着けよとの願いを込めて。

 そして再び店内へ。


 こんどは透明のパックに入った”シラス”。

 我輩これを見て愕然とした。

 人間界に於ける首都圏ベッドタウンの人口より多い数ではないか!?

 あまりにも哀れなので、自称弱者の味方である我輩が逃がしてやる。


 「あっ!猫が店にっ!!」


 く、ここまでか!

 遠くから店主の声が聞こえて来たので、正体がバレる前にこの場を去る。

 これからは子供の魚を重点的に逃がす仕事に従事しよう。

 町中の猫達に手伝って貰って・・・。

 


 この後一週間、魚屋のみ猫の集中攻撃を受けるハメとなる。

 

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