吾輩は仕事に追われているのである。
前回の続き。
{ギャアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーンッ!!!!!}
「フギャァァァァァーーーッ!!!」
けたたましい音で目覚めた我輩。
既に業者が作業を始めたようだ。
って事はもう朝?
慌てて辺りを見回すも、糞ババァの姿はどこにもない。
どうやら我輩を放っておいて出かけたらしい。
なんとも愛の無い・・・。
腹いせに近くの段ボール箱をビリビリにしてやる。
すると中からフカフカの柔らかい布が・・・。
それらは三角のモノやふたコブラクダの背中みたいな形をしている。
実に不思議だ。
取りあえず、全部引きずり出してやった。
それでは気持ちも晴れた事だし、早速仕事に取り掛かろう。
状況を見るに、2階はほぼ完全に作業が終わっているようだ。
お手伝いの為、業者の居る1階へ。
先ずはリビング。
これはクロスを張り替える為の準備?
「ウニャニャッ!」
壁に張られたボードへ爪を立てると、なんとも面白い様に削れるではないか?
爪も研げて一石二鳥である。
片っ端からガリガリと・・・
「あっ!おやっさん、猫がボード引っ掻いてる!!」
「うおっ!この悪戯猫めっ!!捕まえてやる。」
物凄いオーバーアクションで喜びを示す業者が我輩を追いかけてくる。
お礼でも言いたいのだろうが、それには及ばない。
途中にあったボンド・コーキング・シンナー・塗料などと書かれた缶やチューブを次々ひっくり返したり踏みつけて作業場を移動。
「あぁっ!?あんの猫めぇーっ!!」
「お、おやっさん・・ハァハァ、あの猫まるでこぼれるもの分かってるみたいな・・ハァハァ・・動きをしてましたよ?」
「ああ、以前近所のバイク屋の主人と話したことがある。ハチクロ柄の猫には気をつけろって・・。」
「まんまその模様でしたぜおやっさん!!」
「俺達だけこんな目に遭うのは悔しいから他の業者にも被害が出る様、このことは黙っておけよ!」
「へ・・へい。」
(なんと小せぇ親方だ・・・)
そんな大喜びの二人を後に、作業場を移動する我輩であった。
まだまだ仕事はこれからですねぇ。




