吾輩は熱帯魚の手入れに一苦労である。
先日バイク屋で事件が起きたらしい。
水槽の魚が全滅したと。
絶望するゴミ虫主人とは裏腹に、他の家族はその趣味へ理解が少ない。
特に奥方様からは”そんな生き物なんて気持ち悪いからヤメて!”と言われていたようだ。
ゴミ虫よ、我輩に感謝するがよい!奥方様の意向に従って行動したのだから。
それでもめげない親父は更なる熱帯魚とやらを購入したようだ。
しかも水槽が倍以上の大きさになっているではないか!
ここからでは見えないから一旦上部へと移動して、システムの全容を見渡す。
ほほぅ。これはやりがいありそうだ。
問題は魚なのだが、一見泳いでいる様には見えない。
何が飼育されているのだ?
すると、
「よー、ニャゴローよ。この水槽には物凄く高価な魚が入っているから触るんじゃないぞ?特にストレスに弱く、お前の爪で軽く引っ掻いただけでも死んでしまうからな。絶対触らないでくれよ?いいか、絶対にさわるなよっ!!」
念を押される我輩だったが、同時に魚情報を垂れ流す間抜けなバイク屋の主人。
不思議とその口元は綻んでいた。
とりあえず、それ等のデータは全て有効活用させて貰おう。
ー その夜11時頃 -
まだバイク屋一家は娘以外全員起きている。
ゴミ虫はこの時間になると”サケ”を飲んで意識朦朧のヘベレケになっているのは調査済み。
早速仕事に取り掛かるか。
薄明かりが点けられている水槽前へ到着。
なにやら動いている。
ハハァーン、さてはこの魚夜行性だな?
早速言われた通り、爪を立てた前足で触りまくってやろう。
明日もオヤジの泣いて喜ぶ姿が目に浮かぶ。
ニャッシッシッシ。
身軽に水槽上部へと移動、対象物が水面へ現れるまでじっと待つ事に。
耐える事5分、予想通り水面へヤツの姿が・・・でかい!
これならどこにでも手が届く!
見てろよゴミ虫、いざ行かんっ!!
{バリバリバリバリッ}
「ニャギャアァァァッ!!!!!」
激しく流れる電流が我輩の全身を駆け巡る!
もしかしたらコイツは悪名高い”電気ウナギ”では?
気付けど時すでに遅し、全身白黒カーリー出来上がり。
意識を失う寸前に見たのは、ニタリとほくそ笑むゴミ虫親父の姿であった。




