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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩は夜も忙しいのである!


 我輩は今、真夜中の公園にいる。

 どこぞの偽善者が『あー、猫ちゃんかわいそー!私がエサあげるねぇ!!』などと放置した猫缶をつまみつつ散らばったドライフードをカリカリとテイスティング真っ最中。

 

 飛び出たお腹を引きずって園内を散歩すると、オスとメスの人間複数が暗闇に紛れてゴソゴソなにやら怪しい事を。

 ポケットからはみ出た財布をコッソリ抜いても気付かない程メスとのじゃれ合いに夢中なオス。

 それを前足で器用に開くと顔を覗かせる薄いビニール袋でパッキングされた”リケン”と印刷された謎の物体。


 他にも”ラテックス”があったのだが、先ずは中身が何かを確かめる為、警戒しつつも慎重に爪で中心を貫通させる。

 ここで人間に見つかってしまい、福沢諭吉なる偉人が印刷された紙を一枚だけ咥えて脱出。


 この後複数のオスから同じ様に財布を抜き取っては中身の検証を試みるも、オス自身が履いているパンツなるものを脱ぐポイントで毎回気付かれる。

 臭いにムッとし、爪を立てて引っ搔くからだろうか?

 

 転んでもただでは起きない小生ニャゴロー、短時間でチャチャっと任務を遂行。

 苦しいながらも確実にこなすのは穴をあける仕事とその報酬である諭吉の抜き取りだけ。


 この仕事は終末が特に忙しいのだ。


 これが終われば次は宿敵と一戦交える事に備える。

 川に隣接するこの公園は、最近余所者が幅を利かすといったジモッピーには耳の痛く、何とも情けない話である。


 ”ヌートリア”と呼ばれるその侵略者達は中型犬程で、遠巻きに眺めている分には可愛らしいが、近くで見ると只のデカいドブネズミそのもの。

 特に毛の無い尾がキモい。

 圧倒的な違いは完全に大きさのみ。


 ヤツ等を懲らしめる為、昨日の昼間にもこの公園を訪れたのだが、その時は遊んでいた複数からなる人間の子供達に先手を取られてしまった。


 「おい見ろよ!あれラッコじゃね?水面から頭と背中がでてるぞ?」


 「マジ?かーわいー!この石投げたらこっちこないかな?」


 「よーし、みんな!ラッコに向かって石投げようぜーっ!!」


 最初はカワイイなどとチヤホヤされる言葉にイラつくも、動物達が嫌がる”石”なるキーワード。

 特に鎖で縛られている犬などは、石を手にした子供の残虐性に尻尾を巻く。

 

 絨毯爆撃の様に降り注ぐ石にはお手上げ状態のヌートリア。

 いい気味である。

 

 「チッ!見えなくなっちゃったな。・・・お、こっちに猫いるぞ?」

 

 「猫って肉球にテープ貼ると面白い動きするんだよな。」


 「つかまえろーっ!!!!」


 その後ターゲットが我輩に向けられたことは黙っておこう。

 

 嫌な記憶が蘇ったが、今宵こそは白黒ハッキリさせてやることにしよう。・・我輩の模様の様に。

 


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