吾輩は狩猟の達人である!
獲物を追う行動。
すなわち狩猟本能、
それはどんな動物にも備わっている。
飼い猫の我輩ですら例外ではない。
一説には狭い場所を好むことも、狩猟と関係が深いらしい。
だが注意しなければならない。
それらは何れ身を亡ぼすだろうという事を。
ここでは我輩の仕事中に起きた出来事をいくつか紹介しよう。
公園へ猫缶ババァのばら撒く餌を腹の中で消化する清掃系仕事中の出来事。
川の近くまで片づけ終わったところ、トンボなる飛行物を発見。
そのトリッキーな動きに翻弄されて川の中へ。
冥界から死に戻りした婆の経営する駄菓子屋で、商品をかき回す仕事をしている時の出来事。
ブンブンと今どき珍しいハエなる飛行物を発見。
そのクイックな進路変更に踊らされて、ハエ取り紙なるものに体を巻き付けてしまう。
平成の今、どこでそんなものを購入してくるのだろう?
ゴミ虫の経営するバイク屋にて昼食後の息抜き中。
変なスプレーから出る毒霧をヘルメットなるものへ吹き付けている主人を暫し眺める。
様々な色を重ねて不思議な幾何学模様を作製するその技術は見事なり。
神経を削ぐ仕事に疲れたのか、ゴミ虫は一旦店の奥へ。
「ウニャン?」
暇を弄ぶ我輩が、何気にヘルメットを前足で触れたら肉球跡がくっきりと。
「ニャンニャンニャーン♪」
なんとも楽しくてペタペタ触れまくる。
面白すぎて背後の注意を怠ってしまった。
「ニャ、ニャゴローよ。・・・ホーレ!」
ワナワナ震うゴミ虫の手から店の外へヒラヒラとウエスが投げられた。
我輩の心を痺れさせるボロ布には即反応、道路へ飛び出すことに。
それにしても何故ゴミ虫はブルっていたのだ・・・ニャッ!?
{キキィィィィィッ!!ドンッ!!!}
「グヘニャッ!」
仕事を終え帰宅した三河家にて。
「ニャゴロー!あんた箱好きでしょ?あなたの為にコレ作ったからあげる。」
珍しく我輩にお土産をくれる美也殿。
家の形をした小さなその箱は、大きな口を開けて我輩を誘う。
当然ダッシュそしてジャンプ!
「ウニャーッ!!」
ジャストフィット!
飛び込んだ瞬間、正にこの言葉通が頭をよぎる。
この後暫く我輩の周りでやたらとブラックサファイアを目撃する事に。
勿論、家の形をした箱からも当分抜け出すことは出来なかった。
まだまだ山ほど事例があるのだが、それは後日と言う事で。




