吾輩は細い場所が好きである!
我輩は狭い場所や細いところが大好きである。
これは猫の習性と言ってもよいだろう。
今日も塀の縁を軽快に歩く我輩だったが、緑の育つこの季節。
なんとも通行を妨げる枝や葉の多き事。
そこは我輩慣れたもので、ヒョイと易々かわす・・おっと!
今日は不覚にも前足が滑った。
それでもこんな状況はお手のもの、ニョキっと爪をだして・・・アレ?
「ニャアアアアアァァァァァ・・・・」
美也殿にきっちりネイルカットされていたのを忘れていた。
だが、2mそこそこの塀から落ちようと、身軽な我輩にはどうって事無い。
くるくるくるーっと・・・。
{ドサッ!}
「グニャン!!」
しかし今回に限って回転数を誤り、無様にも背中から落ちてしまったらしい。
背骨を強打した事により、ほんの少し四肢に痺れが出ているだけ、大したことは無い。・・はず。
放っておけば回復するであろう。
よく道路の両脇には白い線が引いてある。
その上を歩行する事のなんと気分の良い事よ。
だが問題もある。
元々警戒心の強い我輩達。
それでも弱点はある。
前からの反応は俊敏だが、背後や側面からの不意打ちにはメッポウ弱い。
知らぬ間にバックを取られてしまう事が多々あるのだ。
「ニャアッ!」
こんな話をしているうち、いつの間にかバイク屋のゴミ虫に背後を取られた我輩。
そこは本能からなるサイドステップて華麗にかわす。
「あっ!ニャゴローそっちはっ!!」
「ウニャ?」
チャラチャンチャンチャー♪チャラチャンチャンチャー♩チャラ・ンッチャー・ンッチャー・ンッチャッチャー♪
(偶然にも近所からピアノの軽やかなメロディーが流れる)
人間や我輩達動物以外も駆け抜けていくこの道路。
鉄の塊である”車”、なかでも特に”トラック”と呼ばれる大型の物には気をつけないと。
その後、バイク屋の前に白黒赤の3色からなる小汚いウエスが、一輪の花と共に暫く放置されていたらしい。




