吾輩は食べ物ではないのである!
最近我輩の間借りしている三河家へ居候が来た。
本人曰く、三河一家の為に頑張るとの事。
そこには当然我輩も入っているのだろう?
彼女は”東海 垂香”と言って、御長男に何かをやらかしたそうだ。
お詫びで三河家へお手伝いとしてやって来たらしいのだが・・・。
日中は一流ホテルで働いているらしいが、体の良い人員減らしではないのか?
もしかしたら丁稚奉公だったりして。
「お前がニャゴローね!お世話は私がしっかりするから言う事を聞くように。」
なんたる上から目線!
温厚たる我輩でも許せないものがある。
「ちょっとアンタ臭うわね?面倒だけど洗ったげる。」
手慣れた手つきで我輩の首辺りをヒョイとつまみ、風呂場へ直行。
”ピカール”と書いてある洗剤?の様な白く濁った液体を振りかけられた。
「ニャニャニャニャニャニャアァァァァーッ!!」
体がヤスリで削られるようだ!
痛くてたまらない!
「ちょっと暴れないでよっ!これで仕上げだからっ!!」
おかしなスプレーをかけてくる丁稚。
周りには強酸性の文字が・・・。
「ニャニャニャニャニャニャアァァァァーッ!!」
体が炎で焼かれている様だ!
熱くくてたまらない!
「はーい、綺麗になったねニャゴロー!」
体中の毛がほぼ全て抜けてしまったのだから見かけは清潔感バッチリだろうよ。
グヌヌヌヌ。
「最後は乾燥させないとね!」
キサマ今何をしている?
それはパンを焼く”オーブントースター”と呼ばれるものではないのか?
どこにも”キャットドライヤー”などと書いてないぞ?
「フニャアァァァァァァァァッ!!!」
所かまわず引っ掻いてやったつもりだが、コヤツ革手袋をしているではないか?
完全に確信犯である。
なすすべなくトースターに入れられる我輩はこう思う。
”敵は東海にあり!”と。
この夜、三河家前を通り過ぎる人達は、肉を焼くいい匂いに刺激されて帰宅の途をを急いだらしい。




