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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩は綺麗好きである。


 我輩がお世話となるこの三河家は、ゴリラより恐ろしい母の”音羽おとは”を家主として、猫をも上回る気分屋の長女”小織こおり”に勉強はできても人として何か足りない弟の安成やすなり、そして半径5kmに及ぶ全ての小動物たちを敵に回した一番下の妹”美也みや”の四人家族で構成されている。

  

 因みに家族の記憶にも残らない父親は出張とかで我輩自身一度も会っていない事になっている。


 昼寝を終え、陽だまりの中を散歩する我輩の前を小汚い人間が遮る。

 油臭くて小太りの醜い容姿が全ての生物をイラッとさせるその人物は、近所にあるバイク屋の主人。

 その名を”ゴミ虫”と言うらしい。三河家の長男が家にいるときそう呼んでいるのを何度も耳にしたから間違いない。


 「おーっ!ニャゴローじゃないか?今日はどうしたんだ。ん?」


 撫でようとするゴミ虫の手は、臭くて油まみれに汚れている。

 おかげで気高く美しい気品ある顔の白い部分を汚された苦々しい過去の記憶が蘇る。


 その手から逃げるのは勿論の事、序にゴミ虫付近へ置かれた液体の入る容器を片っ端から転がしてやると、青い顔したゴミ虫は次々それらを拾いまくってゆく。

 その姿はばら撒かれた餌に飛びつく野良犬にも見え、愉快愉快でああ愉快。

 

 ガソリンがどうとかアルコールまでもとか我輩には一切関係のない事。

 所詮は物扱いであるペットの悪戯となり、裁かれる心配もない。

 例えそれが引火性の高い液体であっても。

 

 ここで一つだけハッキリ言いたいことがある。

 どこぞの古いアメリカカートゥーンに出てくる猫達の様に、我輩の肉球でマッチは引火できないから!

 ダメ!絶対にダメ!!


 ゴミ虫は嫌いでも、その娘や番いのメスは結構気に入っており、特にあのふくよかな胸の腫れ物に抱かれるのは何とも言えぬ喜びが・・。

 思い立ったが吉日、直ぐに店の奥へその腫れ物を求めて上がり込む事とする。

 

 オマケで油まみれの肉球印を家中至る所に押してやろう。

 

 ニャゴローは今日もいい仕事しています。


 

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