表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
191/218

吾輩は過剰との言葉が大嫌いである!


 今日で三日目。

 我輩は今、新三河家で軟禁状態となっている。


 先日大工職人に追われた時、事もあろうか悪魔の館に逃げ込んでしまった。

 おかげでまんまと逃げおせたワケだが……。


 本能的に病院を避けたんだな。

 世話になっているマダムはどうでもいいとして、あの消毒の臭いがな……

 つい反対側の家へと飛び込んでしまった。

 

 慌てていて気付かなかったが、まさか呪いの館だったなんて。

 我輩にしては大失敗である。


 

 この屋敷は三河家の御子息を慕った数人からなる女性達で構成されておる。

 以前本家でお手伝いをしていたヤツも今はこちらで生活をしているのだ。

 住み込みから通いとなっただけなのだが。


 当初我輩としても新しい基地が出来たと大はしゃぎしておったのだが……

 いかんせん、そこは御子息を慕う者達。

 当然我輩も可愛がられる。


 ここまでの話で、どこに不満があるのかとお思いだろう。

 それはズバリ可愛がられるところなのだ!

 過剰なのだ!


 一旦家へ上がろうものなら数人から頭蓋を割られるようなナデナデ攻撃。

 内臓がはみ出るぐらい強く絞め殺すような抱きかかえ。

 馬引きの刑に負けず劣らずの我輩を取り合うすさまじい攻防。

 お手入れと言う名の命より大事な爪先全カット。

 そして喉元まで溢れる食べ物の押し込み。

 必ず実行される大っ嫌いな全身シャンプー。

 鼻の奥で爆発する程クッサイ香水のシャワー。


 これが好意なのだから非常に厄介。

 病院マダムの服を着せる事などかわいいもの。

 まぁ、大概服を着ている猫達は同じような境遇だと思うのだが。


 そこでこの雪である。

 足枷を嵌められたようにここから動けないのだ。

 

 別に無理をすれば本家へ帰る事は可能だろう。

 だけと肉球が冷たくなるじゃん!

 全身冷えっ冷えでブルッブルのガッチガチになるじゃん!

 我輩寒いのはイヤなんだからね!

 

 おっと、失礼。

 言葉が乱れましたな。


 勿論、前記に触れた全ての事項は既に行使済み。

 というより、今現在進行形なのだから。

 

 鼻は完全にパーとなってしまい、嗅覚はゼロ。

 味覚もやられて食べ物もおいしくない。

 あのクサヤですら味も臭いもしないのだ!

 

 ともあれ、今は雪が止むのを待つ事しかできない。

 我輩達動物は疎か、人間すら天災には逆らう術がないな。

 

 仕方がない。

 果報は寝て待てではないが、それまで我慢してここにとどまるとするか。

 それにこんな状況では肝心の仕事もままならないしな……

 



 ニャゴローの思い虚しく、稀に見る大寒波到来で雪はこの後三日間降り続いた。

 漸く止んだ四日目以降、商店街を中心に町内でおかしな噂が囁かれ始める。

 巨大な化け猫が町へと憑りつき、災いをもたらすために付近を徘徊していると。

 彼を見た後、強烈な臭いで暫くは鼻がパーになる呪いを掛けられるのだとか。

 


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=205125233&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ