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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
189/218

吾輩は寒さを乗り切る方法を伝授するのである!


 最低気温を日々更新するこの時期。

 雪が降ると駆けまわるどこぞのバカな人間の下僕動物とは違う我等が猫族。

 特に寒いのが嫌いなのだ。

 苦手なのだ。


 それでも今日まで幾千年もの時を生き抜いてきた我が種族。

 寒さをしのぐ術がDNAに組み込まれ、状況によりそれ等を使い分ける。

 御先祖様の知恵が生かされつつも、その方法は最早無限に等しい。

 本日はその一つをお教えしようと思う。



 商店街にあるスーパー。

 裏手には大きな駐車場を兼ね備えている。

 そこへ停めたばかりの車にひょいひょいっと飛び乗りボンネットの上へ。

 ここは非常に暖かく、温度も申し分ない。

 迷わず丸くなり暖を取る。

 これぞ床暖房である!


 とはいえ、これだと背中が寒い。

 それに暖かいのは限りがある。

 そんな時は迷わず車の下へ。

 天井パネルヒーターだ!


 これは車高の低い車程暖かい傾向にある。

 なぜなら床も車の熱で暖められているから。

 勿論停車したばかりのやつではそれほどの効果は望めない。

 適度に時間が経過したのを狙うのがポイントである。


 そんな訳で実践して見せよう。

 丁度魚屋での仕事も一段落着いたところ。

 魚を素前足でペタペタ触って体温低下が著しい。

 暖房器具の出血大サービス中であるスーパーの駐車場へ出向くとするか。



 ―― スーパー駐車場にて ――


 見ろ!

 宝の山だ!

 駐車場の空きはまだまだあるも、今はこれで十分だわ!

 夕刻ともなればこの数倍は集まろうて!

 

 早速車のチョイスに取り掛かる我輩。

 ここでの車選びは非常に重要。

 四駆とか呼ばれる車の下に場所を構えるのは愚の骨頂!

 

 あれこれと悩みながらも暫し駐車場内を徘徊。

 一台ずつゆっくりと品定め。

 そして……


 あ!

 あれは跳馬ブランドで有名なペッタンコの車ではないか! 

 こんな貧乏人の集まる田舎でなぜあのような車が!?

 なんとも珍しい……

 

 よしっ!

 あれの下にきーめた!


 ダッシュでその血の色をしたペッタンコの車へ!

 下に潜ろうと覗いた瞬間!


 「ニャーン?」


 げげっ!

 キサマはニャン吉!?

 既に先客がいたとは!


 仕方がない、それならば我輩は隣の車を使用するとするか。

 一応プライベート空間は確保してやらないとな。


 

 ―― 数分後 ――


 それにしても温いなぁ。

 極楽極楽っと!


 そんな時、跳馬カーの持ち主が帰って来た。

 バタンとドアが閉まる音とともにエンジンを掛ける音が……


 {キュルルル……ファフアァァァァァァァンッ!}

 「ニギャアァ!」


 うん?

 なにか猫の声が聞こえたような?

 ハテ?


 我輩はなんとなく気になり跳馬カーの方へ目を向ける。

 先ほどまでニャン吉がいたが、流石に今はもういない。

 幾らヤツでも持ち主が戻ってくれば逃げ出すだろう。

 そこまでバカではないと思うし。

 先程の声もきっと気のせいだな。


 まぁ、こちらの持ち主はまだ当分戻ってくる気配がないようだ。

 それならばとことんまで暖を取らせて貰った後、帰るとしようか。



 この後帰り道の商店街外れを通る道路で人だかりを発見。

 しかし寒かったので見向きもせず、ニャゴローは家へと帰って行った。

 

 

 ―― 人だかりにて ――


 「あーあ、車に轢かれたのか?」


 「それがねぇ、病院の旦那さんが乗る車の下から転がり落ちて来たのよ」


 「あれ? 今日は奥さんが乗ってたわよ? 私さっきスーパーで会ったもの」


 「きっと乗り慣れないから急に出てきた猫を轢いちゃったのね」


 「それにしてもやけにボロボロだなこの三毛猫?」


 「ホント、ズタボロのぼろ雑巾みたい」


 「ご愁傷様」


 

 ※因みにニャン吉は轢かれたのではなくエンジン始動に巻き込まれた

  跳馬カーの車高が低すぎ、尻尾がファンベルトに巻き付いてしまったのだった

 


 

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