吾輩は目出度くなどないのである!②
悪魔軍団に捕らえられたニャゴローは大ピンチ!
果たして無事生還できるのか!?
などと言うとる場合か!
なんとかこの状態を打破しなければ!
ウ~ム……
「さあニャゴロー、あんた煩悩だらけだからこれで身を清めなさい!」
脱出計画を練っていると、またしても首皮を掴まれた我輩。
美也殿は抱きかかえていた我輩をそのまま大きなツボの口元へ。
そこは煙モウモウの地獄!
「ゲッニャゲッニャゲッニャッ!」
クサッ!
しかもケムッ!
し、死ぬっ!
痛い痛い痛い目があぁぁぁぁっ!
涙と鼻水ボーボーの我輩。
視覚と嗅覚を破壊された!
しかしここで予期せぬ大チャンス到来!
救世主の降臨だ!
「おーいみんな! こっちだよーっ!」
「あ、おにーちゃん!」
色めきだって彼の方へと小走りするメスども!
憧れの兄が出現した事により、美也殿までもがテンションアゲアゲ!
掴んでいた手を放し、ツボの中へ邪魔な我輩をポイーッ!
そして同じように彼のいる方向へ走り出す!
{ジュッ}
「ニギャッ!」
ケツに火がつき大暴れでツボから脱出!
幸い火傷30パーセントほどで事なきを得た。
あの悪魔から逃れられるのなら尻の一つや二つ安いもの。
それにしても腹の虫が収まらない。
我輩もう一度ジャンプしてツボの縁へ。
煙モウモウで大袈裟なものの、中心付近の火はゴウゴウ燃えている訳ではない。
くすぶっている感じなのだ。
それならば!
{ジョロロロロロロ……}
{ジュウゥゥゥゥ!}
鎮火してやった!
見たか我輩の消化能力を!
違う意味での出初式だ!
「ザワザワザワ……」
人間どもが騒ぎ始めた!
こうしてはいられん!
逃走の準備をする我輩。
全身を収縮し、バネを絞るが如く……
「ニャン?」
すると下の方から猫の鳴き声が!
おかげで大ジャンプはスカをくった!
あ!
ニャン吉ではないか!
いいことを思いついた!
ニャン吉に我輩の横へ来いと催促。
彼はなにか貰えると思ったのか、素直にジャンプ!
そして隣へ。
彼へそこにある蒸気の中心を掘ればとんでもなくいいものが出ると説明。
我輩を崇拝するニャン吉は目の色を変えて速攻ツボの中へ!
同時に我輩は反対の外へ!
着地する間、ジュッと肉が焼ける音と香ばしい香りが!
しかし構っている暇はなく、急いでこの場を離脱!
その途中、ネコの悲鳴と老人たちが我が仲間を罵る怒号も……
「テメーこの糞三毛猫が! 御利益もクソもあったもんじゃねぇっ! 覚悟しやがれっ!」
「ニギャアァァァァァァァァァァ……」
鳴き声が尻すぼみに小さくなっていくニャン吉。
彼にとってもいい年となりますように。




