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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
172/218

吾輩は吸収力が抜群である。


 師走。

 人間達が何かとせわしくなるこの時期。

 誰もが口々に”よいお年を〟と。


 そんなに老ける事がいいのだろうか?

 我輩はいつまでも若いままでいたいと思うのだが……


 それはそうと、この時期我輩にとっては非常に危険。

 ちょくちょく訪れる美也殿の家庭連続滞在期間。

 暑い時期の長期、寒い時に中期、くしゃみ連射シーズンは短期。

 その内の一つがやって来たのである!


 グヌヌ、このままでは我輩の仕事もままならない。

 なんとかしなければ……


 しかし、どれだけ思考を凝らしても、出てくる答えはいつも同じ。

 ”あきらメロン〟と……

 やはり泣き寝入りか、或いはなるべく顔を会わさぬようにするのか……

 とどのつまり、触らぬ神に祟りなしか。


 {ガチョガチョ……}


 「……ただいまー」


 早速ハーデスのご帰還か。

 ここは逃げるがベストだな。


 あれ?

 誰かと一緒に居るぞな?

 あれは確か……酒呑童子先生だっけな?


 「美也ちゃんはもう少し頑張ったほうがいいわね」


 なんと!

 あの美也殿がしょぼくれているではあーりませんか!?

 父親が単身赴任で長期にわたり家を空けると言っても落ち込まなかったのに!


 この世の終わりがついに来るのか!

 マヤの予言は真実か!?


 奈瑠美先生と呼ばれる御子息付きの雌と一緒の帰宅は何を意味するのか?

 溜息をついている美也殿に何をしようというのだ?


 「このままだと来年お兄さんと同じ高校に入れませんよ?」


 お!

 どうやら怒られているようだな?

 珍しく大人しいではないか?

 いつもなら暴れて逆切れをするのに?

 

 もしや弱みを握られているのか?

 あるいは、あり得ないなにかをやらかしたかのどちらかだな。

 美也殿の事だ。

 どうせ後者に決まっておろう。


 真実を探るべく、二人の後をついて二階にある美也殿の部屋へ。

 帰宅早々机に向かい、珍しく本を開いた美也殿。

 一体なにをするというのだろうか?


 「では始めましょうか」


 「はーい……」


 挨拶をかわすとなにかの悪だくみを先生と二人で目論んでいる模様。

 我輩はず~っと寝たふりして様子を伺うことに。



 二時間は経過したころであろうか?

 ”休憩しましょ〟との言葉で下へ降りて行く二人。

 チャ~ンス!


 早速美也殿の机へ!

 所狭しと並べられた数々の計画書!

 今のうちに盗み見だ!


 爪を立てて素早くページをめくる我輩!

 毎回ビリビリっと大きな音を立てるも今は気にしている場合ではない!

 とにかく早く企みの全貌を明らかにしなければ!

 ニギャアァァァァッ!


 奇声を上げつつスパイ行為に没頭!

 1.44メガバイトの脳細胞に次々とこれらを記憶!

 そして……



 床一面を覆う紙屑で雪化粧ならぬゴミ化粧を纏った美也殿の部屋。

 10分後に帰ってきた彼女に決定的瞬間を目撃され、犯猫ニャゴロー即逮捕。

 想像を絶するお仕置きを受ける事に……


 皮肉にも、この時点で美也殿の学力を遥かに上回ってしまったニャゴロー。

 彼女の受験で大いに役立ったとか。

 

 カンニング用ではなく、ハンドタオルとして……


 

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