吾輩は暫く働けないのである!
我輩の髭が重要な事は誰もが知っている。・・と思っていた。
「ニャゴローもお髭が伸びて来たわねー。切っちゃいましょう。チョッキンチョッキンっとな。」
綺麗に揃えられた口髭はダンディーな男の証。
・・・。
そんな訳あるかっ!
またしても美也殿の思い付きで罠に落ちてしまった。
第一打席:バイクのスポークに挟まる。
第二打席:猫缶に顔がハマり抜けなくなる。
第三打席:アルミ製の策に挟まり抜け出せなくなる。
第四打席:ズレたマンホールから下水に落ちる。
第五打席:ガラス戸の隙間と自分の幅に対する目測を誤りサッシに直撃。
第六打席:草むらを走っていたらそのまま川へ。
第七打席:アンジョウ号なるご子息愛用自転車の荷台に挟まる。
第八打席:美也殿を小馬鹿にして腕の隙間をすり抜けようも捕まる。
第九打席:好奇心から雨どいに顔を突っ込んで抜けなくなる。
全猫類の敵、美也殿には天罰を!
などとニャー吉に話していたら、商店街に住むニャン吉がお前はまだマシだと。
彼は以前美也殿に爪を全部切られたことがある兵だ。
爪が伸びるまでの受難を赤裸々に語る。
第一レース:魚屋の小魚が盗めなくなる。
第二レース:敵から逃げようにも高い場所への移動が困難。
第三レース:バイク屋の親父を引っ掻くことが出来ない。
第四レース:窮鼠猫を噛む状況で一方的にバイトされる。
第五レース:ウシガエルさえ巨大な敵になる。
第六レース:うんちに砂をかけるとき、直接触ってしまう事が増えた。
第七レース:50cmの溝さえ踏ん張りがきかずに飛び越えられない。
第八レース:犬をバカにして木の上に逃げるも登る事が出来ずに無事死亡。
第九レース:派閥争いや縄張り争いを遠目に見る事しかできない。
第十レース:同族でケンカの場合は得物を持つ相手に対し素手感ハンパない。
第十一メインレース:無いのを忘れて爪を研ぐ行為をすると様々なモノで肉球をザクザクに。
第十二レース:人間の背中に突然飛びつけなくなった。
メインレースでふふっとなる我輩。
他猫の不幸は何故こうも胸がすく思いになるのか。
そして気付けばその後は美也殿の悪口に。
何れは全世界の猫を敵にしてしまうのではと少しだけ彼女に同情。
我輩ぐらいは彼女へ甘えてやることにしよう。
その後爪の無い我輩が各地で目撃される事となる。




