吾輩はぬいぐるみである!④
「見てニャゴロー!あの街へ行くのよ!!」
小織殿に窓へと押し当てられている我輩。
こんな状態で外など見えるか馬鹿者メが!
今乗っている機械のクジラは先程のものとは別物。
途中で乗り換えをしたのだ。
さも何事も無かった様に話す我輩だが・・・
ウォッホン!
実はここへと至るまでにひと騒動やらかした。
思い出すだけでもハヅカシー!
嗅覚と聴覚をクラッシュさせたまま無事目的地へ到着。
かと思いきや、またも違うアイアンホェールへと乗り込むらしい。
一体どこまで移動するのやら・・・。
乗継場では不穏な輩が侵入しないように厳重な検査をする場所がある。
ここを無事通る抜ける為という事で我輩は彼女の小さなカバンへ軟禁状態に。
それも無理やりに押し込められて。
あれ?
となれば、不審者とは我輩の事?
まさかな・・・。
この時アバラを数本イワせたが、想定の範囲内か。
多少痛むものの、まあ大丈夫だろう。
それにしてもこの場所にいるヤツラはデカいな。
御子息殿もそこそこ大きいが、こいつらと比べれば子供同然。
ゴミ虫に至っては保育園児並みの大きさと違うか?
とまあ、この場はこんな感じで軽くスルー。
何事も無くて良かったな。
「窮屈だったでしょニャゴロー。でももう一度飛行機に乗らないといけないから、あまり遠くへは行かないでね。猶予は二時間ってところかな。」
検査所をすり抜けて直ぐの場所で小織殿は我輩を放してくれた。
時間は二時間と言ったか?
それだけあれば情報収拾には十分だろう。
と、これがいけなかった。
どうやらこの施設は動物オッケーらしく、至る場所に犬がいる。
我輩を目にした途端に騒ぐ彼等。
おかげで近くにいる丸太人間までもが我輩を追いかけてくるのだ。
このままではマズい。
なんとか臭いと音を頼りに小織殿を!
「ニギャッ!?」
忘れていた!
鼻は一番最初の施設でパーになったままだ!
しかも鼓膜は小織殿に破られてしまっているではないか!?
我輩大パニック!
見たこともない場所に聞いた事のない言葉の数々!
ここはいったいどこなのだ!?
たすけてえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!
「そんな場所でゴロゴロ転がって何してんのニャゴロー?ハンバーガー買ったからあっちで一緒に食べましょう。」
この時ばかりは小織殿が女神に見えた。
あのこずるくて泥水のように汚い心の小織殿が女神に!
まあ、見た目だけなら普通に女神よりキレイかもな。
こうして半泣きの我輩を労いながらも暫くして後、彼女は再び鉄のクジラへ。
無論、ぬいぐるみと化した我輩も一緒に・・・。




