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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
146/218

吾輩はお手伝いをしようとしただけである。


 家の前で工事が始まった。

 なんでも電線の張替えだそうな。

 よく分からないが、空を走る線のことか?


 元々住宅地である三河家は、大通りから一本入った場所にある。

 区画整理された町並みを走る道路は、ギリギリ車がすれ違えるほどだろうか。

 殆ど交通量が無い為、我輩達も大手を振って歩いているのだ。


 工事関係者は今、道路を堰き止めて工事をしている。

 通行止めをしているので時間がかかれば近隣住民から苦情が出かねない。

 そんな訳でお手伝いを。


 電柱とやらの真ん前にトラックを止めての作業か。

 荷台から伸びるアームの先には人間が二人見えるな。

 それにしても高い!


 なるほど。

 前後に交通整理を配備か。

 無駄な人員だな。

 ここは車など殆ど通らないのに。


 様子を探るべく、交通整理の目を盗み荷台へ。

 ひと段高いところに出たおかげで運転席を発見。

 キャビンとも呼ばれる場所。

 

 フフフ。

 我輩は知っているぞ?

 中には宝物が眠っている事を!

 彼等の弁当というお宝が!


 お!

 丁度いい具合に足場があるではないか!

 この数本のレバーを足掛かりに窓から侵入できそうだ!


 早速ジャンプ!

 トントーンとレバーを・・・


 {ガチャ!}


 うおっ!

 足場がぐらついた!


 {ブオオオォォォ!!!ウワンウワンウワン!!!!}


 突如として唸りだすトラック!

 しかも振動で落ちそうになる我輩!

 咄嗟にあちらこちらのレバーに前足や後ろ足を掛けて耐えようと・・


 {ガチャガチャガチャッ!}


 {ウオオォォォォォーーーーン!!!ピーッピーッピーッ!!!!ガッコーンガッコーン!!!!}


 更に勢いよくガクンガクンと揺れ動く車体!

 アームは伸び縮みしながらトルクフルな円運動を!


 「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!!!危ないいぃぃぃぃぃっ!!!!!!!」


 「ニャギイィィィィィッ!!!!」


 人間達は大パニック!

 我輩もプチパニック!


 まずい!

 このままでは我輩も巻き込まれる!

 脱出すべく、勇気を振り絞って決死の大ジャンプ!


 {ガチャ!}


 {ウンウンウンウン!!!}


 最後のレバーはどうやらトラックを固定する足のものだったようだ。

 全部収納された。


 しかもこの時点でアームは全部出され、斜め四十五度のまま真横の方向を!

 それは三河家とは逆の方向。

 

 運が悪かったんだな。

 きっと神様も見放したのだろう。

 すべての条件が重なってしまったんだな。


 そしてバランスを失った高所作業車はアームの伸びた方向へ横転。

 車がゆっくりと倒れて行ったため、作業員は咄嗟に脱出で事なきを得た。

 これまた偶然にも付近に人影はなく、奇跡的にけが人はゼロ。

 それでも民家が大被害を被る結果に。


 是もまた運命か。

 我輩電気工事業を手伝うつもりが違う仕事となってしまった。

 ・・・解体業という名の。



 この日から『小張バイク店』は数日ほど休業する事となる。

 なにせ店舗部分が全壊したのだから。

 トイレから戻った店主はこの状況を見て、暫く地べたに座り込んだという。


 

 

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