吾輩は生魚が苦手である。
人間どもは我輩の事を勘違いしている。
全ての猫が生魚を好むと思ったら大間違い。
我輩はあまりそれらを好まない。
正確には生より火の通ったモノの方が好みなのだ。
しかし猫の特性上、目の前に出されればつい手を出してしまう。
特に駄菓子屋のバアさんに言いたい。
イカは生も加工品もヤメてくれと!
商店街の魚屋は弁えてか、それなりに新鮮なものを提供してくる。
ハマチなどの刺し身は新鮮過ぎて、時々身についてる白い糸などはまだ動いているときがある。
まるで虫みたいに蠢くのが少々不気味だが、新鮮な証ということで一緒に食する。
夏になるとくれる酸っぱい刺し身とはやはり一味違う。
全てを平らげると違う身を追加してきた。
粘り強い糸を引くとろけそうな程クタクタな身を。
警戒しながら口に含むと・・・うまい!
以前肉屋で口にした深緑色の松阪牛にタメを張る旨さだ!
毎回このようなモノを提供しろと人間どもに言いたい!
生もバカにしたモノではないな。
熟成サイコーッ!!
理由は分からないが、この後一週間ほど下痢で寝たきりになった。
先日公園の横を流れる川で仕事をしていた時の事。
母上に献上するウシガエルを捕まえていると、目の前にポンと魚が。
どこぞのお節介な釣り人が釣りたての魚を恩着せがましく我輩に与えようとする。
なめるなよ人間めが!
この魚は”ブルーギル”と呼ばれ、身には寄生虫がウジャウジャいるらしいではないか?
そんな危険物を我輩に与えるなどと・・せめてその辺りにいる赤耳亀にしないか!
もしくは熱を通せと声を大にして言いたい。
腹が立ったから、様々な釣り道具が収められている箱を川の中へ落ちるよう蹴ってやる。
序に竹で出来た”竿”と呼ばれる物の穂先もへし折ってやった。
更にグリップ付近へ施された名前らしき物も丁寧に爪で削りとる。
泣きながら喜ぶ釣り人を後にその日の仕事を切り上げた。
そんな事を思い出しながら、明日行う仕事の予定を考える我輩であった。




