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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
127/218

吾輩は確立された空間が好きなのである!


 「おじさんこんにちわー!」


 「お、どうした美也ちゃん、ニャゴローなんか抱かえて?」


 「ニャ~ン・・・」


 そうなのである。

 ゴミ虫の言う通りなのである。

 不覚にも我輩、美也殿に抱えられているのである。


 出かけようと廊下を歩いていたら、玄関付近であるものを発見。

 白いテープでぐるりと30cm程の円が貼られていたのだ。


 不思議な事に、それを見た我輩は、なにやらキャン玉袋がムズムズと・・・。

 遂には居ても立ってもいられなくなり、円の中へどっしり尻を着いてしまう。

 

 なんと心地の良い事よ!

 障子と呼ばれる紙のガラスを破った時以来の爽快感!


 直後、美也殿に捕まってしまった。

 そう、罠だったのだ。


 今思うと、我輩が廊下を歩いているとき、居間の扉が少し開いてた。

 多分彼女はそこから覗いていたのだろう。

 我輩が罠にかかるのを、今か今かと待ち侘びながら。

 ”聞いた通りかかった!”との声も聞こえて来たし・・・。

 そこから先は見ての通り。


 それにしても美也殿はキャッチセールスの才能でもあるのではないか?

 今日に限っては簡単に捕まってしまったぞ?


 腰を下ろしてキャッチされるまで1秒もなかったのではないか?

 まるでナンパ師が尻軽を落とす時間並の早業だ!

 我輩超チョロインである!


 「それにしてもその格好はなんだ?蚕の繭みたいなタマはついてるんだろ??もう少し男らしくだな・・・」


 黙れゴミ虫!

 キサマに言われなくとも十二分に理解しておるわ!!

 ガッチリ美也殿の腕で脇の下から胸のあたりを決められた我輩を見て見ろ!!!

 下半身はダラァ~ンとするしかないだろうに!!!!

 ぶっ殺すぞ!!!!!!


 ・・・

 おっと、失礼。

 つい取り乱してしまいましたな。

 

 しかしここまで言われて黙っている様な我輩ではないぞ?

 それはキサマもよく知っておろう。

 となれば、先ずは手始めに・・・


 「ウニャン?」


 どうだ!

 腹を見せての愛くるしさ120%攻撃だ!


 「おぉっ!どうしたニャゴローよ!?もしかして俺に抱かれたいのか?美也ちゃんよ、ちょっとだけ貸しておくれ。・・・・・・・・・・・・今度焼肉連れてってあげるから。」


 「オッケー!いいよおじさん!!ほらどうぞ!!!」


 彼女は両掌で我輩の両脇の下辺りを優しく掴む。

 先程と持つ位置が変わったのみ姿勢はそのままの状態でゴミ虫へ。

 今度はヤツが正面から同じようにわき腹を掴んだ。

 そしてそのまま自分の顔がある位置まで持ち上げ、


 「ニャゴローちゃんよ?そんなに俺に抱っこされたかったのかぁ~?フフフ」


 真正面に我が猫生で遭遇した最大最悪の汚物が!

 汚らわしいわ馬鹿者めがっ!


 {ガブッ!}

 「ギャアァァァァァァァァァァァッ!!!!!」


 鼻の頭を思いっきり噛んでやったわ!

 モゲロッ!


 同時に投げ出されて全身壁に叩きつけられた我輩。

 この痛みぐらいなら脊髄損傷と股関節脱臼、それに大腿骨と鎖骨骨折ぐらいか?

 まあ大したことではないな。


 怪我よりこの後バイキンで口内炎になる事の方が恐ろしい我輩。

 それでもそれぐらいの犠牲で済むなら御の字と言えよう。

 おかげで美也殿から逃げ出せれた事だし、今日はこのぐらいにしといてやるか。



 それからしばらく、フラフラで下半身を引きずりながら右前足を折りたたみ、匍匐前進するよう這って歩くハチワレ猫が、あちらこちらで目撃される事となったそうな。

 

 

 

 

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