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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
114/218

吾輩は秋と戦うのである。④


 スポーツの秋。

 猫達は生活の中で知らないうちに鍛錬を行っている。

 スポーツなどとは野性を忘れた生物の甘え。

 だが、それはあくまでも単に鍛えるだけの事に限定。


 娯楽としてならば非常に興味深い。

 知性が発達した生物共通項で、実は我輩達も行っている。

  

 仕事戦士の我輩は日夜走り回っているから体力には事欠かない。

 それでも野良のニャー吉やニャン吉から比べれば幾分劣る。

 その代わりに思考能力が段違いなのだが。


 特に秋は我輩達もよく『運動会』なるものを開催する。

 働くばかりが能ではない。

 時にはこんな息抜きも必要である。


 内容は主に徒競走や持久走がメイン。

 必ずと言っていい程借り物競争テイストの味付けとなっている。

 おかげで年々魚屋のガードが固くなっていくのだが・・・。

 

 それでもついこの間、『旬の味覚一番乗りサンマ争奪戦in町の魚屋』を開催。

 見事商店街を縄張りにするニャン吉が優勝をかっさらって行った。

 しかし我輩が用意した優勝商品の『米沢牛』を咥えての帰宅途中、事件が。

 なんでも塒近くの商店街で彼が姿を消したとか?

 

 あの日、途中までニャン太郎が一緒だったそうだが、肉屋の前で消えたのだと。

 当然咥えていた『米沢牛』も一緒に・・・

 

 その時ヤツは近くへ用を足しに行ったらしい。

 時間にして五分もなかったそうだ。


 その日の夜、肉屋の主人が近所の野良に得体の知れない肉を配っていたとか。

 一部三色の毛がついている部分もあったそうだが全員その事には目を瞑ったと。

 こうして『ニャン吉失踪事件』は迷宮入りとなった。



 なにもスポーツは自らがするばかりではない。

 観戦もその楽しみ方の一つなのだ。


 この間も公園で『猫プロレス』を観戦してきたばかり。

 この時期になると、我が町へ巡業にやってくる団体があるのだ。


 時々町で見かけられる血まみれの猫や怪我だらけの猫はこの時の観客だろう。

 必ず誰か試合を見ているうちに自分もと興奮し、隣のヤツと喧嘩になるのだ。

 いい加減に学習してほしいが・・・。


 だから怪我をしている猫を見かけた時は同情して近づかないように。

 実は興奮真っ只中で、近づく者すべてに牙を向けるから超危険。

 伊達に野性や野良とは呼ばれてないぞ?


 おっと、こうしてはいられない!

 もうすぐ『アライ君から逃走中!』が行われる時間だ!

 今回は我輩も主催者側ではなく参加者。

 優勝賞品である『シマシマ尻尾のキーホルダー』をゲットするぞ!



 次の日、ズタズタに引き裂かれた猫の”どざえもん”が、公園内を流れる川にプカプカと複数浮いて漂っていたそうな。

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