吾輩は復習の鬼となるのである。①
最近なにかと荒れている公園。
今回の仕事もここの警備である。
勿論従業員のニャー吉も同行しての巡回だ。
大ピンチの時に生贄は必要だろう?
「ニギャッ!」
ニャー吉が早速賊を捉えた様だ。
前足で押さえつけられた小さな生物。
これはカナヘビではないか?
危険度ゼロの彼を逃がしてやるため、ニャー吉の前足をトントンと・・・
「グニャッ!」
シカッとした痛みが我輩の右前足を襲う!
ヤツめ、噛みおった!
別に牙がある訳でもないが、顎の力はそれなりにあるらしい。
卑怯者のヤツは我輩にダメージを与えると、尻尾を落として逃げて行った。
親切心が仇になった!
すこし違和感があるものの、たいしたダメージはない。
それはヤツが小さいから。
あれが我輩の倍以上あったとしたら・・・考えただけでもぞっとする。
「ニャ?」
またしても何かを捕獲したニャー吉。
緑色で細長い・・・昆虫?
我輩も興味本位で前足を出すと・・・
「グニャッ!」
噛まれた!
いや、挟まれた?
よく見るとコヤツ、両手がカマになっているではないか?
「ニャニャニャニャニャニャッ!!!」
ガッチリ挟まれてとても痛い!
苦痛に耐えかねて、前足をブンブン振り回す!
その内離れて何処かへ飛んで行った。
にしてもこの公園はデンジャラスだな。
「ニャーン!」
またしても我輩を呼ぶニャー吉。
今度はコスモスと呼ばれる花の群生した畑。
美的感覚が無いはずのニャー吉なのに、クンクンと花の香りを嗅いでいる。
キサマにその良さが分かるのか?
我輩が今から手本を見せてやる!
ニャー吉の近くへ移動。
彼の嗅いでいる花を横から同じようにクンクンと・・・
{サクッ!}
「グニャッ!」
突然鼻先に電流が流れる!
痛いっ!
そこには黄色と黒のお腹をした蜂が!
しきりに我輩の鼻先で腰を振るコヤツはミツバチではなく足長バチだ!
針は無尽蔵にあるはず!
両前足を使い鼻の上からヤツを叩き落した。
結構なダメージを与えるも、飛んでどこかへ行ってしまった。
この時左前脚も刺されたようで、ジンジンする。
言わずもがな、鼻の頭はピエロ。
「ニャーッニャッニャッニャッ!」
ムム?
なんと我輩を見てニャー吉のヤツが隣で笑い転げているではないか?
もしやキサマ!
先程からおかしいと思ったのだ!
しかしキサマのしたことがこの後に後悔を呼ぶハメとなるだろう。
フフフ、覚悟しておくのだな。
こうして警備は更に続く。
―― つづく ――




