安価通りに告白された
「高橋、ちょっと帰りいい?」
「? いいよ?」
クラスの中で割と仲の良い高瀬 悠真に連れられて学校帰りの夕暮れ時、公園に来ていた。
「高橋っ!」
突然高瀬君が大きい声で名前を呼んだもんだから、公園にいた鳩は飛んで行って、散歩中のおじさんとその犬がこっちを見た。そして高瀬君が片膝を地面につけてこっちを見ていた。
「お前が好きだっ!」
「えっ!」
「付き合ってください!俺、お前の優しい所が好きだ!さらっさらの髪も、スラッとした手足もっ、すげー美人な所も、笑ってる顔も好きだ!」
…!
えっ、どうしよう…夕日をバックに跪いて告白とか…かなり既視感あるんだけど…えっ、なにコレ。何、ドッキリとか?昨日のスレに似てるんですけど…壮大なドッキリ?本当にドッキリなの⁉︎
「俺、ほらぱっと見ちょっとどころか割とオタクくさいじゃん?いや、そうなのかもしれないけどさ…で、俺新学期の時ビビってたんだよ。同中のやつとかいねぇし…でも高橋がさ、俺の読んでた本見て自分もこの作家好きだって話しかけてくれたじゃん?そっから稲森や泉とかも寄ってきて今みたく楽しく学生生活満喫出来てて…って悪い。わけわかんねえよな?」
「えっ…いや、」
うわぁ…好きになった理由まで喋り出しちゃったよ!あれ、まじで?本気でそうなの?あの俺さんな訳???
しかも好きになってくれた理由が…。
すみません…不埒ですみません!あの時作家の名前を知ってたけど名前だけを知っていただけです。実はメガネフェチの自分好みの中性的な顔した人が前の席でただ単に、
1.ラッキー
2.仲良くなりたい
3.話しかけたい
そう思ってつい好きな作家だなんて口走ってしまいました。…なんて今更口が裂けても言えない…。
「お前の笑顔が一生見たい!あ、違っ…いや、違わないんだけどこれからも見たい!」
あ、一生とか重いよって言ったの気にしてたんだ。
「俺と、俺と…つ、付き合って欲しい!」
ガバッとこっちに手を差し出してきた高瀬君の手をそっと取った。
「えっと…ごめん、その、驚いちゃって…。こちらこそ、宜しくね?」
公園から家までの帰り道、思わず俺さんだよね?と確認したくなったけど今は右手に感じる温もりを堪能することにした。
おしまいです。短い作品がサクッと書きたくてサクッと仕上げました。次は濃いものを書く予定ですがどうなる事やら(^^; 何はともあれ読んでいただき有難うございます。